第一五話「超電磁砲vsサソリの尾」
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覆い被さるように動いてきたゲル状の何か。両手で持てるほどの大きさだったそれは、すぐに形状を広く、厚さを薄くし、網目の無い網のようになり相手を捕らえようとする。
「面」を重視したその動きは、相手を覆えば確実にスライムの粘着性により動きを封じるだろう。
しかし、薄くなるということは弱点を晒し出しやすい。
スライムの塊、その中心に見える鉱石のようなものを打ち抜き、麦野沈利は舌打ちをしながら、ついでに後ろから襲いかかってきた緑色の醜悪な面をした化け物を「原子崩し」でなぎ払った。
「ったく……折角この前買ったばっかのおニューの服までダメにしやがって。どこまで人のモンに危害加えりゃ気がすむんだ?」
ALOにおいては『ゴブリン』と呼ばれるそれらを一撃で数体ほど打ち抜き、文字通りの愉快なオブジェへと変えていきながら、麦野沈利は路地裏からとりあえず大通りに出た。
スライム状の残りカスを服から取り除きながら歩いてきた路地裏を除く。そこには先ほどまであった現代アート風味のオブジェと化したモンスターたちの死骸はもはやなく、なにやらおかしな鉱石がゴロゴロと転がっている状態だった。
先ほどの巨大骸骨の四肢が「原子崩し」によって分担され、御坂の「超電磁砲」で吹き飛ばした後からこれの繰り返しである。ここの実力はまるで低いゴブリンやスライム状の生物たちが、100体単位でこちらに斧やら剣やらを向けてくるので、それを「原子崩し」で一掃する。
だがスライムはどうしても「原子崩し」で攻撃するとゲル状の物が飛び散ってしまう。それらもしばらくするとモンスター本体と同じように光となって消えるが、消える前は感触もあるし、「服についた」という事実だけで気持ち悪くなりそうだった。
ともかく一息ついたというところで、麦野はある事に気づく。
……そういや第3位や絹旗と逸れたようだな。
あの物量で乱戦になった際、ごちゃ混ぜになりそれぞれが離脱してしまったようだ。思えば最初に襲われたコンビニから随分と離れてしまっている。
……ま、あいつらが死んだらそれはそれだが。
死んだら、結局はそいつが弱かっただけである。そんな他人のことなんか知ったことないので、とりあえずこれからどうしようかと考える。
一応、浜面から呼び出され待ち合わせはしていたものの、この騒ぎでは今から待ち合わせ場所に行ってもいない可能性の方が大きい。
……なにより、戻るの面倒くさいしな。
そんなことを考えていれば近くに誰かが近づいてきていることに、麦野は気づいた。
麦野ー、と呼ばれる声に反応すれば、通りの、麦野の右側から絹旗が駆けつけてきた。体には特に傷や負傷の痕はなく、何事もなくあの場を1
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