1部分:第一章
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やろうぞ」
にい、と笑って答えた。こうして話は決まった。
二人は夕食を採り早速百物語をはじめた。そしていよいよ山に登ることになった。
「まずはわしじゃ」
権八がまず向かった。
やがて彼は帰って来た。聞くと何もなかったという。
「そうか、やはり百物語といっても何もないのかのう」
「いや、わからんぞ」
権八はそれを聞いて笑った。
「まだお主が残っておるからのう」
「ははは、確かに。ではわしが化け物にでも会って来るか」
彼は豪快に笑ってそう言った。そして今度は彼が比熊山に向かった。
山の中は暗闇に包まれていた。梟や山犬の鳴き声が響いてくる。
「ふむ」
だが彼はそれに臆することがなかった。犬程度なら何匹かかろうが倒す自身があった。
「わしは刀だけではないからのう」
彼はいつも他の者に対し自慢げにこう言っていた。彼は刀や相撲だけでなく弓や槍、そして手裏剣等も学んでいたのだ。
今も懐に石を忍ばせている。これで山犬が襲い掛かって来たならば一撃で倒すつもりであった。
「腕が鳴るわ」
彼にとってはこの肝試しは武者修行でもあった。本来肝試しはそうした意味があったが当時には既に余興の一つとなっていた。それも時代が泰平だからであった。
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