5部分:第五章
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りにトールが彼等に声をかけてきた。
「貴様等の卑劣な謀略は許せん!」
こうスリム達に叫ぶのだった。
「この俺の手で貴様等を倒す!覚悟しろ!」
「おのれ、こうなれば!」
「英雄達よ勇者達よ!」
巨人達は一斉に叫び巨人の戦士達を集める。すぐに広間に戦士達が集う。既に武装している。剣や槍の銀色の煌きが場を輝かせ眩いまでである。
だがそれよりもトールのミョッルニルの輝きは凄まじいものだった。その輝きは広間はおろか宮殿全体さえ照らしていた。まさに雷の光そのものであった。
「集まって来たか」
「よくもわしをたばかってくれたな」
家臣達に鎧兜を武装させその手に巨大な剣を持ってきたスリムが前に出た。そうして怒らせた目でトールに対して言う。
「雷神トール、覚悟せよ!」
「抜かせ!」
そのスリムにまたしてもトールの大音声が響き渡る。
「俺のミョッルニルを盗んだ大罪、ここで償ってもらう!」
「何を!」
「受け取れスリム!」
スリムに向かって突き進む。その右手のミョッルニルを高々と掲げつつ。
「これが雷神の怒りだ、受けよ!」
「何ィッ!」
スリムが最後に見たものは己の顔に近付いてくる長方形の鉄であった。それが視界の全てを遮ってしまった時。彼の頭は雷により完全に吹き飛ばされてしまった。
頭を失ったスリムの身体は暫く立っていた。だがやがてゆっくりと前に倒れそのまま動かなくなった。巨人の王は今ここであえなく倒れた。
「ス、スリム王!」
「何ということだ」
「さあ、次は誰だ」
トールは倒れ伏したスリムの亡骸を尻目に巨人達に対して問う。
「このトールを倒さんとする者はいないのか!」
「言ったな、ならば!」
「この槍で!」
巨人族の英雄達とトールの死闘がはじまった。しかしやはりトールは強かった。ほんの数刻の間に勝負は決し彼はロキを連れて意気揚々とスリムの宮殿を後にしていた。その右手にあるミョッルニルは眩い雷を漂わせ続けていた。
「気が済んだみたいだね」
「うむ」
誇らしげな顔でロキの言葉に頷く。
「これでな」
「それは何よりだ。それでだ」
「何だ?」
「女装はどうだったい?」
意地悪そうに笑ってトールに対して問うのだった。
「はじめての女装は」
「馬鹿なことを聞くな」
それに対するトールの返事はこうであった。憮然とした顔で答えるのが何よりの証拠だ。
「こんなことは二度とせんぞ」
「そうかい?随分楽しそうだったけれどな」
「ふざけるな。俺はこんな趣味はない」
ムキになってそれを否定する。
「全く。御前の知恵も時としては迷惑だ」
「それはどうも」
「そういえばだ」
ここでトールは気付いた。
「ロキ」
「今度はどうしたんだい?」
「一つ聞きたいことがある」
こう
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