4部分:第四章
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「フレイヤ様はですね」
「うむ、フレイヤは」
スリムはロキの言葉を聞くのだった。既にここで彼の術中にはまっていた。
「貴方様を恋焦がれて八日の間殆ど何も召し上がっていなかったのです」
「わしにか」
「はい、そうです」
そう述べると共ににこやかに笑ってしなを作ってみせる。好色な巨人達に合わせてのことだ。
「だからなのですよ」
「そうか。ではそれではな」
スリムはその饒舌をすっかり信じ込んだ。そのうえ気までよくさせた。それで今度はとールのヴェールをあげて顔を覗き込もうとした。だがその瞬間に広大と言ってもいい広間の端まで引いたのであった。怯えきった顔と共に。
「どうした!?」
「何があった!」
「み、見よ!」
スリムは腰を抜かしつつ驚愕の声でとールが化けているフレイヤを指差しつつ同胞達に告げた。
「花嫁の目を!」
「!?フレイヤの目をか」
「そうだ、まるで雷がほとぼしり出ているような」
(まあ当然だな)
ロキは彼の言葉を聞いて至極当然のことと納得した。
(雷神なのだからな)
「どういうことなのだ」
「フレイヤ様はですね」
ここでまたロキは言うのだった。スリムに対して。
「貴方様のことをお慕いして」
「わしをか」
また同じ流れだった。だが彼はロキのその言葉を信じるのだった。
「そうです。八日の間まるで寝ておられないのです」
「左様であったか」
「ですから目がそうなるのも当然」
こう言い繕うのだった。
「御安心を」
「わかった。それではな」
「はい、それでは」
「ではスリムよ」
「そろそろではないか?」
巨人達がここでスリムに声をかけてきた。
「うむ、そうだな。祝言をな」
スリムもそれに頷いた。
「では早速ミョッルニルをここへ」
「はい」
スリムの家臣がそれに応える。
「それではその様に」
「うむ、頼むぞ」
こうしてミョッルニルが持って来られた。それを見たとールの目の色が変わるがロキがそっと止めた。
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