暁 〜小説投稿サイト〜
日向の兎
1部
41話
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走ると同時に、上忍達から急速にチャクラが私に流れ込んだ。そして、チャクラだけでなく徐々に諸共に掴んだ木々か枯れ始めた段階で離し、上忍達は意識を失った状態で地面に倒れた。が、どうにも数が足りない。
「あと一人は……」
「迂闊ですよ」
私の背後ではいつの間にか私の後ろに回り込み、首を落とそうと苦無を振り下ろそうとした上忍の腕を、白が千本片手に防いでいた。
「礼は言っておくが、それは余計な世話だったぞ」
私がそう言い終わると同時に上忍は意識を失い、他の二人同様地面に崩れ落ちた。
白は千本を仕舞い、疲れ切った表情で店先の椅子に座り込み、非難するような視線を私に向けた。どうやら、上忍を狙ったはずだったのだが、白のチャクラも少なからず奪ってしまったようだな。
「……はぁ、貴女は本当に人間ですか?」
「いや、化物だが?」
「そう答えられると身も蓋もないのですが、少なくとも以前お会いした時は、ここまでおかしな状態では無かった筈ですが?」
「なに、自覚というものは重要でな。数日前に、私は人間ではないと自覚してからこういう事が出来るようになったのだ」
「何が何やらよく分からない説明ですが、今はいいです。追っ手が来たという事はここにもいられませんし、さっさとここを離れないと」
白は席から立ち上がり、小さな手鏡に千本を突き立てた。すると、千本はするりと鏡に吸い込まれていった。
「なんだそれは?」
「再不斬さんとの連絡手段ですよ」
「成る程、もう行くのか?」
「当たり前です」
「ふむ……では、達者でな」
私は白に背を向け、日傘を差して目的地へと足を向けた。が、その直後、白に呼び止められた。
「団子の代金をお忘れですよ?今日限りで終わりですが、仕事はやっておかないといけませんからね」
「……ツケというのは無しか?」
「じゃあ、借用書でも書いておきましょう。何故だか、貴女とは妙な縁がある気がするんで、次に会う時に返してもらいますからね。では、お名前を聞かせてください」
……あまり名乗りたくはないが、確かにこんな茶屋で出会うというのは縁があるのだろう。
では、名乗っておこう。
「……ヒジリ」
私の新たな名前であり、私の真なる名前を。
「大筒木ヒジリだ」
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