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『珍』守府へ、ようこそ
○○ニ 二人の鎮守府
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かけて、流しの端に置く。流しからちょっと離れたところに中央広間があった。広間の中心に階段があり、下の階へ繋がっている。下の階も下の階で広間になっており、階段を降りた目の前には大きな扉、左右には小さなドアがある。恐らく他の館に繋がっているのだろう、司令室だけの鎮守府なんて酷い。目の前の大きな扉は外に繋がっているらしい。
外はどんな風になってるのかな。
興味を持ち、扉に手をかける提督、扉の隙間から日が差し込み始める。広間全体に陽が満ちた。提督は腕を顔にかざし、半目でやっと外を見る。今まで気づかなかった磯の香りが提督の鼻を擽った、近くに海がある。
本当に鎮守府なのか... まぁ、疑っていてもしょうがなかったな。
光に目が慣れた提督は一歩前に出た、磯の香りと共にやってくる涼しい風が提督を襲う。敷地内辺りに広がる花、花壇だ。
左手に見えるのは大きな館、やはりあのドアは他の館へ繋がっていた。その奥には大きなグラウンド、まるで学校のような。
右手に見えるのはまた違う館が二つ。
両手を広げて伸びながら提督は思った。
そう言えばここはショートランド泊地だったな、こんな大きな鎮守府だったか?
と言うか、あの手紙、なんだったんだ? よく見てなかったからな... 電が持ってるよな、後でもう一度見せてもらうとしよう。
一頻り伸びた提督は一度館へ戻った。その足で電の眠る司令室へ戻る。ドアを開けると、その場にぺたりと座って目を擦る電が居た。

「おはようなのですぅ...」

ふわぁ、と可愛らしいアクビをして立ち上がり、不意に戻ってきた提督に近づき、ボフッと音を発ててぶつかった。

「お、お〜い、電?」

提督が困惑するなか、スースーと寝息が聞こえた。電がまた眠ったのだ、今度は提督の胸のなかで眠ったのだ。
提督はそんな電を見て一度ため息を吐くと、

「寝る子は育つ、ってな」

苦笑し、電をお姫様抱っこして司令室の奥にあったダンボールが二つほど置いてある畳の上に寝かせた...

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