3部分:第三章
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第三章
「だからだ。言葉では何とでも言い繕ってやる。安心しろ」
「御前が一緒に来てくれるのならな」
ロキが知恵者なのはもう承知のことだ。だからトールは頷いた。
「それでよかろう。それではだ」
「ああ、行くぞ。まずは格好の準備だ」」
「わかった。それにしてもだ」
ここでトールは言う。全てが決まってから。
「おかしなことになったな」
「世の中は全部おかしいものさ」
ロキはそんなトールに対して告げた。
「あまり深く考えるな。眠れなくなるだけだぞ」
「ううむ」
何はともあれフレイヤに化けることになった。首飾りはそのフレイヤから借り後は大柄な彼に合わせた服にヴェールを身に着け宝石に指輪で飾った。これで一応は見事な花嫁姿になったのであった。
その格好になったうえで。既に完全な女になりやはり女の衣装を着ているロキに声をかけた。ロキはもう艶かしい美女になっていた。
「これでいいのだな」
「ああ、上出来だ」
ロキはしれっとして言う。トールの髭は覆いで隠しその上にヴェールをしてある。だからばれる筈もなかった。
「これでいい。まあ大柄なのはどうとでもなるさ」
「こればかりはどうしようもないぞ」
見れば女になったロキとは倍位の差がある。あまりにも違い過ぎている。
「大きさだけはな」
「だから大きな女もいる。気にするな」
それに対するロキの言葉は平然としたものであった。やはり動じるところはない。
「それはな。では行くぞ」
「わかった」
こうして二人でスリムのところに向かった。道中はさしても問題もなく程なくしてスリムの宮殿の前まで来た。宮殿はやけに巨大なものだった。
「また随分と大きいな」
「まあ巨人のものだからな」
トールもロキも元々は巨人族だがそんなことはあまり考えてはいなかった。
「それも当然さ」
「そうだな。それではだ」
「ああ、ここからが本番だぞ」
トールを見上げて笑いながら声をかける。やはり艶かしい女の顔と声だ。しかし中身は紛れもなくロキなので。トールはその女を見てもどうも思わなかった。
「いいな」
「わかっている。ではな」
「あの」
女になりきって宮殿の門のところまで来て衛兵達に声をかける。衛兵達も言うまでも泣く巨人族でありその手に巨大な剣を持って鎧と兜で武装している。トールは彼等を見て思うのだ。
「ミョッルニルさえ手に戻れば」
怒れる目でこう。
「あんな連中は皆殺しだ」
実際にその手に戻ればそうするだけだった。そのつもりで待っていた。程なくしてロキが戻って来て彼に対して言ってきた。
「もう旦那が待っているそうだぜ」
「そのスリムがだな」
「ああ、行くか」
「そうだな。行くとしよう」
「一言言っておくな」
「何だ?」
ここで言ってきたロキに対
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