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少年少女の戦極時代・アフター
After17 出発前夜 A
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 咲は人の絶えた夜の街路を歩いて家路を行っていた。

 貴虎や凰蓮は車で送ると申し出てくれたが、歩いて帰りたかった。防犯上よろしくないと頭では分かっていても、一人になる時間が少しでも多く欲しくて。


「咲ちゃん?」

 後ろから呼ばれたのでふり返ると、ちょうど街灯の下の見えやすい場所に、葛葉晶が立っていた。

「晶さん……こんばんは」
「こんばんは。こんな夜中に一人? 何かあったの?」

 特に何もないと答えるべきだったのに、彼女は他でもない葛葉紘汰の姉なのだと思い出すと、黙っていられなかった。

「ちょっと、トラブル」
「ひょっとして……紘汰関係?」

 晶は紘汰がアーマードライダー鎧武であったことや、紘汰が世界を救って宇宙の果てへ旅立ったことを知っている、数少ない「一般人」だ。

「咲ちゃん、家はどっち?」

 あっち、と咲は大まかな方向を指差した。

「途中まで同じ道ね。一緒に帰らない?」

 一人になる時間が欲しくて歩いて帰ることにしたはずなのに、咲は晶の誘いを承諾していた。
 晶は、紘汰の唯一の「家族」なのだから。




 夜道にハイヒールとローファーの靴音だけが響いては消える。

「ちゃんと話すのは2回目かしら。紘汰の最後の伝言を届けに来てくれた時が初めましてだったわね」
「そう、ですね」
「あなたの話は紘汰からたっくさん聞いたから、他人の気がしなかったけど」
「あたしの?」
「小さい子なのに勇気があってまっすぐな子と友達になったんだ、って。そんな子の前でみっともないオトナとして見られるのは恥ずかしいから、どんな時も、その子が隣にいたら頑張れるんだって」
「紘汰くんが、そんなこと」

 紘汰は紘汰のままで、みっともなくなどなかったのに。むしろ咲のほうが、一途に戦い続ける紘汰に付いて行けるように頑張ろうと思っていたのに。

(今はあたしが紘汰くんを救いに行く立場になっちゃった。人生どう転ぶか分かんないものよね)


「トラブルがあったって言ったわね。それは紘汰のこと?」
「……はい。ちょっと、あたしたちが行って力になってあげないと、って感じです」
「そうなの」

 咲が精一杯オブラートに包んだ真相を、晶はいとも容易く見透かしたような気がした。

 分かれ道に来た時、晶は屈んで咲と目線の高さを合わせた。

「紘汰をお願い」

 真剣な瞳を、していた。

「はい。絶対何とかしてみせます。戒斗くんと光実くんと、みんなで」

 晶は安心したような笑みを刷いた。

「あなたと話せてよかった。明日にはもう行くの?」
「はい。朝8時に、鎮守の森跡地集合で」
「気をつけてね」
「はい」

 咲は晶から離れ、会釈してから、再び一人の
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