第四話
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様には見えないが…。
「あのなぁ…女を守りてぇなら、自分が強くねぇとならねぇだろ?そんなナヨッちいと、守れるもんも守れねぇ。お前さ、梓とくっついてどうしたい訳?」
「えっと…」
修は答えに詰まった。グスターヴが言っていることが表面的なものでなく、もっと深い所の何かを問っているのだと分かったのだ。そのため、修は少し考えを纏めてからグスターヴへと返した。
「彼女を幸せにしたい。彼女の幸せが僕の幸せです。そのためだったら僕は死ぬ気で働けますし、どんなことにも我慢出来ます。」
その答えに、グスターヴは不服そうに顔を歪めた。
「そりゃ自己満足だろ?お前の家族はどう思ってんだよ。」
「僕の両親は、僕のことには口出ししません。自分で解決しろと言われています。」
「だがよ…もしお前が家を出る様なことになりゃ、どうする積もりなんだ?」
「覚悟の上です。」
「親もか?」
「はい。」
「う〜ん…。」
それでもグスターヴは不服そうで、暫くは腕を組んで唸っていた。そして、最後に彼へとこう問った。
「お前、梓のために全部棄てても悔いはねぇのか?」
「残りません。」
即答だった。
修の顔は真っ直ぐにグスターヴに向いている。これまでの問答で、恐らくかれは何かを吹っ切ったのだろう。
そんな彼にグスターヴは笑みを見せて天河へと視線を向けると、天河も同様にグスターヴを見た。
「グスターヴ、決まった様だね。」
「ああ。俺はこいつに力を貸すぜ。」
「だったら、今日の演奏会には皆様を招待せねばな。」
天河はそう言ってニッと笑った。
二人の会話に、修は再び首を傾げる。それが余りにも情けなく見え、二人は些か苦笑した。
「あの…どう言うことですか?」
彼は困惑して問うと、天河は彼に言った。
「全部棄てる覚悟…本当にあるんだね?」
「はい。」
やはり即答だった。
梓のこととなると、彼は自分のことを二の次に出来るのだ。それがたとえ愛する家族を棄てることになろうとも…である。
言い換えれば、今まで過ごした生活のみならず、生きてきた“道"を棄てるに等しい。彼はそれをも承知した上で「はい。」と返したのだ。
修は二人の考えが分かったかの様で、その後に言葉を繋げた。
「僕は梓ちゃん…いえ、梓と一緒なら、どこまでも強くなれます。たとえ家族を悲しませることになっても、絶対に後悔はしません。」
「親不孝とは思わないのかい?」
「思いません。必ず幸せになって姿を見せに来ますから。」
先程までの彼とは違い、そこには微塵の迷いもない彼の笑顔があった。
「お前、本気なんだな。」
「無論です。」
グスターヴに真っ正面から返す彼は、天河から見ても頼り甲斐のある男性に見えたのだった。
さて、その後に天河は修にとあることを指示し、
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