第四話
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かと問われますと、細かく調べさせただけなのです。」
「細かく?」
「ええ。原因不明で解決した事件を十年余り遡って調べ、それらを年代順に地図に並べて行くと、それが移動していることが分かります。そこで移動したルートに住んでいた、又は同じ様な容姿をした二人組を見掛けた人物がいないかを調べあげました。」
「何故二人だと?」
その問いに静江は苦笑して答えた。
「お二方がこの町に来たとき、結構な評判だったのですよ?お二方の容姿が飛び抜けて良いのだと自覚されるべきですわ。」
「はぁ…。」
そうは言われても、二人はそれほど自分の容姿を気にしてはいない。故に、そんな風に評価されていようとは思いも寄らなかった。
些か面食らっている二人を余所に、静江は話を戻して言った。
「それでお二方がこの町へ来た時より、この町の周辺で同様の解決事件が起きているのですから、調査内容と照らし合わせれば明白となりますでしょう?」
「これは…参ったなぁ…。」
天河はそう言って、バツが悪そうに頭を掻いた。
一方のグスターヴと言えば、既にもう知らぬと言った風に酒と食事に徹していた。天河はそんなグスターヴを半眼で見つつも、自分もワインで渇きを癒してから静江へと言った。
「何故…そうまでして願叶師を?」
「決まってますわ。梓ちゃんのためです。」
彼女は天河を見据え、そうキッパリと答えた。
しかし、その答えに天河は首を傾げて返した。
「どうも分かりかねますね。何故身内である修君ではなく、他人である梓ちゃんなのです?」
そう問われた静江は、天河に意外なことを話した。
「実は…梓の母、花江とは親友だったのです。彼女と洋介さんは、それは仲睦まじい恋人同士で、私も周囲も羨んだものです。彼女は結婚する時、子供が生まれたら名付け親になってほしいと言い、洋介さんも是非にと…。ですので、私はそれを喜んで受けたのです。」
「では…貴女が“梓"と?」
「はい。ですから彼女が亡くなった後、私は梓ちゃんを実の娘の様に思っているのです。故に、梓ちゃんには幸せになってほしいと…。」
その答えに、天河は納得して返した。
「分かりました。では、貴女の願いは“梓ちゃんの幸福"で良いのですね?」
「はい。」
静江の返答に淀みは無かった。彼女は自分の息子より梓を選んだのだ。いや、今は亡き親友の想いを…と言った方が良いかも知れない。
「しかし、私は何を対価に?」
「もう対価は支払われています。」
「…?」
天河の言葉に、静江は首を傾げる。それ故、天河はそれに答えて言った。
「貴女の息子、敬一郎君の幸福です。」
「…それが対価に?ですが…対価にはならないかと…。」
「いいえ、彼は数年間は苦しむでしょう。」
「しかしながら、それは息子の自業自得と言うものでは?」
「
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