第四話
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は驚かされたものだけど、どうやら今では定着した様だね。」
「ん?あぁ…ショートケーキか?ま、柔らかくて甘くて旨いってんなら食べてみたくもなるよな。特に、苺のは紅白って東洋じゃめでたい色なんだろ?」
「グスターヴ…お前には風流さが足りないと思うよ…。」
「そんなもん旨くないじゃん。」
「ハァ…。」
天河はガックリ肩を落として深い溜め息を吐いた。
すると隣の席で、パフェを食べ終えていた梓がクスッと笑って言った。
「天河先生って、一体お幾つなんですか?」
「お嬢さん、歳なんて聞いちゃなりません。若作りするのに苦労しているんですから。」
天河はそう言って肩を竦め、グスターヴが苦笑しつつ梓を見た。それはとても滑稽であり、梓は悪いとは思いつつも吹き出してしまったのだった。
「あぁ…可笑しい。今日は良い気分転換になりました。有難う御座います。」
梓がそう言って頭を下げると、天河もグスターヴも満足そうに微笑んだ。
「なら良かった。そうそう、今度大学の音楽堂で大学創立五十周年の祝賀演奏会を催すんだよ。良かったら聞きにおいで。」
「え?行っても宜しいんですか?」
「勿論。演目はヘンデルの王宮の花火の音楽に水上の音楽第一番、それにバッハの大ミサ曲からグローリア、そしてモーツァルトの戴冠式ミサと言った具合だよ。」
「どれも聴いたことのないものばかりです。楽しみにしています。」
梓がそう言うと、天河は思い出したかのように笑いながら言った。
「それにね、今回はグスターヴが第一トランペットをするんだよ。私は指揮だけ。」
「本当ですか!?先生方…音楽もされていたんですね。」
「そっか、梓ちゃんは知らなかったね。私達は文学と音楽を教えてるんだよ。他の大学では専ら文学だけどね。」
「そうだったのですか。それでは益々聴くのが楽しみです。」
梓はそう言うや、「あ!」と言って席を立ち上がった。
「やだ、カステラを忘れるところだったわ!」
そんな梓を見てグスターヴはニッと笑って言った。
「カステラならもう用意してあるって。また今日も二本なんだろ?」
「あ…はい。って、申し訳ありません!」
「良いって。またどうせ時雨とそこに買い物に寄るしな。」
そうグスターヴが返した時、見計らった様にお上が紙袋にカステラを入れて梓へと渡しに来たので、梓は巾着袋から財布を取り出そうとした。すると、お上はそれを制して笑いながら言った。
「毎回贔屓にして頂いてるから、今日のお代はいいよ。また来て下さいね。」
「あ、有難う御座います!」
そう言って梓が頭を下げると、お上はニコニコして「気を付けてお帰りね。」と言ってカウンターへと戻って行ったのだった。
梓は頭を上げて天河らを振り返ると、一礼して言った。
「御馳走様でした。本当に美味しかったです。
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