第一三話「元暗部の奴ら」
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された存在である。もう成長する必要がないそんな存在に成長意欲なんてあるわけがないだろうが。
「それに、ここから出られないあなた方と違い、私はここを自由に行き来できますのよ」
とは言え、痛いところを突かれ少しムカッとしたことも真実だ。だから少し煽り返してみる。
本来ならこの時点で彼女の存在はこの世界から消されていただろう。しかし弱体化した上に閉じ込められた無力な魔神など、今の狂三にとっては恐るるに足らない存在──は流石に慢心しすぎであるが、それでも1対1なら倒せなくもない相手であった。
現に、煽っておきながら手を出してこないことからいくら慢心が服を着ているような存在とはいえ相手方がそれくらいは考えるほど追い込まれているということは分かった。
「…………で、結局あなたは何をしに?」
無視することはできないと判断し、ため息を吐いてのちに本題に入ってきたネフテュスに対して、狂三は静かに告げた。
「少し……教えて欲しい事がありますの」
「ほほう。なるほどな。さて、なんのことかな」
ケタケタと笑いながら応えた僧正。彼が笑うとどこぞのホラー映画より怖い図となるが、別にそんなことで怖がるような人物はここにはいない。
狂三はそんなくだらないを考えながら──そんなくだらないを考えるほど余裕がある自分に驚きながら──本質を口にした。
「決まってますの」
「今回の騒動の元凶……『ソラリス』と呼ばれる彼の正体と目的。その彼とあなた方、そして『ファントム』の関係性ですわ」
2,
起きたら全てが終わっていた。
言葉の通りである。自分が動けなかったり寝たりしていたら、いつのまにか全て終わっていた。具体例を述べるなら常盤台の生徒がクリスマスイヴに寮から抜け出そうとしたら寮監先生から首をコキャッとされ失神し、起きた時にはクリスマスが終わっていたという感じだろうか。
そして、自分ほどこの言葉が似合う奴はいないだろうと少年は思っていた。
少年は学園都市の暗部に潜む小組織のメンバーだった。「メンバー」。小さな組織の上、同じ所属員同士の仲は決して良好と言えなかった。それに加え学園都市の上層部からの圧力や制御もあった。それでも、それなりに充実した日常を生きていたのだ。BLAUとの出会いなども今となってはいい思い出。彼とは数回限りの顔合わせだったが、表の人間の中では少年がとてつもない好印象どころか尊敬の眼差しをも持てた数少ない人物の一人だ。そういえばあの時共にBLAUと会ったスキンヘッドとハリ頭は元気にしてるだろうか。
閑話休題。そんな感じで平和とは言えなかったが、それなりに楽しみを見出すこともできる毎
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