暁 〜小説投稿サイト〜
とある緋弾のソードアート・ライブ
第一二話「本物の地獄に住む狂乱者たち」
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早く対象が見つかるとはな。さっさと終わらせて、これから来るっていう風紀委員とか警備員とか言うやつで、思う存分楽しもうぜ」
「そうだな……ってか。ギルマスやザザたちも惜しいことしたなぁ。……こんなに楽しめそうな場を用意してくれるって聞いたら喜んで参加してきただろうに」
「ギルマスって……POHってやつのことか」

 すでに意気投合した彼らは、元ラフコフメンバーから彼らを束ねたギルドマスター、POHの話は聞いており、その存在について知っていた。

 POH。ラフィンコフィンの創設者であるギルドマスターにしてSAOで最も猛威を振るったPK。ユーモラスなキャラクターネームとはかけ離れた、冷酷で狂気的な思考を持った殺人鬼であり、美貌とカリスマ性を持った悪のカリスマである。彼が犯罪者プレイヤーに行った誘惑・洗脳は凄まじく、未だにPOHをまるで信仰団体の教祖のように崇める元ラフコフメンバーもいるほどだ。

「ああ。ギルマスは連絡取れなかったからしょうがないけどよ。ザザの奴は確か何か準備があるとか言ってたな。……そういやジョニー・ブラックの奴も」
「どうでもいいけどよ。そろそろこいつ、嬉しすぎて腰砕きになりそうだぞ。ヨダレも垂らして相当やばいな」

 少年から中年まで、大小様々な男たちの中で年長者の部類に入る1人がへたり込んだ自分よりふた回りも下だと思われる少年を見る。自分たちも今の感慨を深く感じてはいるが、少年は完全に高揚した顔でヨダレを垂らしながら笑っていた。常人から見れば完全に狂気に支配された笑みだったが、彼らにとっては態度に表してないだけで、内心同じ感じなだけにすぎなかった。

「あぁ。そいつかなりギルマスにゆっくりと教育されてたからな。久々の感覚で快感が過ぎたんだろ」
「けどよー。これ、死んでないよな?死んでたら貰える金が半減するわこの後の殺しができなくなるわで面倒なんだけど」
「うーん。大丈夫じゃないの?」

 人の命をまるで食事するかのように簡単に自らの快感に食い潰すことができる彼らにとって、これからできる快楽の吐き場が無くなることは死活問題に等しい。そのくせ、「ダイヤノイド」の壁でも簡単に破壊できるという火力の手榴弾を後先考えず投げ入れたことも、彼らが快楽を後先考えず先に置く、すなわち狂っているという証明になるのだろう。

 近くにいた男が腰砕きになった少年を立たせようと手を差し伸べた。

 同時に2度目の爆煙が上がる。

 先ほどと似た爆煙は一瞬手榴弾の物にも見え、男たちの1人は身内がまた手榴弾を投擲したのかと思った。

 が、元軍隊の男たちは気づく。今の爆煙には1度目と違う箇所があると。正確には、戦場で彼らは慣れっことなっていたあの、硝煙の臭いがしないのだ。

 そしてその理由は明確に示された。


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