結局のところ鷹巣隆也はわからない
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て息を吐いた。そして喉の調子を確かめるように咳払いをしてから話始めた。
「俺が一年間高校生活を過ごして見てきた奴等は皆俺に気さくに話しかけてきた。中学校までぼっちだった俺は凄く舞い上がった。無理もない、これからはひとりじゃない、楽しい毎日を送る事ができるのだから。
だけどそれは長くは続かなかった。あることをきっかけに今まで仲良く話していた人から『うわ、あいつヤバイ奴じゃん』『マジ無いわー』という様な言葉と共に一緒に話す事は無くなったのだ。今までは仲良くしていたのに、『何が有っても友達だからな?』と言ってくれたのに、そんな事は無かった。嘘をつかれたのだ。友達として近付き、自分に都合が悪くなったらお前は他人だと突き放す。これを悪以外のなんと呼ぶだろう。まぁこんなとこかしら」
今までの声のトーンより少し低い声で話していた舞浜は疲れたであろう喉を潤すために鞄からペットボトルの綾鷹を取りだし少し口に付けた。
比企谷と大志が舞浜の話に感心したように頷いた。俺も一応は頷いておいたが一応、仕方なく言っておかねばならないことがあった。
「それ俺の話じゃねーか!一人称俺になってるし」
俺の抗議に舞浜はクスクス笑った。
「誰も貴方だとは言っていないでしょ?私はただどこかの誰かさんがぼっちになった話をしただけよ。被害妄想が過ぎるんじゃないの?」
軽くあしらわれた俺は返す言葉が思い付かなかった。確かに俺だなんて一言も言っていないけどなぁ。俺のこと見ながら笑いを堪えようとしている姿を見てると疑いたくもなっちゃうよね。
それにしても。俺にとっての舞浜舞という少女のイメージはあまり人と関わらず寡黙なイメージが有ったのだが、あんな事もするんだなと感心してしまった。
俺が元々持っていたイメージだって勝手な押し付けでしかない。それと実際が違っていたからって俺がとやかく言う権利は有るわけがない。だが実際とイメージがかけ離れている事なんてざらにあるしその度に幻滅していたら切りがない。それでも人は他人に勝手なイメージを持ち続ける。結局人が他人をどういう人物か認識するときはその人を見て、或いは聞いて、自分が抱いたイメージを持ってその人であると認識するのだ。それはイメージの押し付けに他ならない。そんなのは理解とは程遠い、偽物であり嘘なのだ。
「鷹巣君?」
舞浜に呼ばれ思考の世界から解放された。呆然と舞浜を見ていると彼女の顔がとびきりの笑顔を見せた。
「何か反論は?」
「ねぇよ」
別に反論なんて無い。どこかの誰かさんの話だったら俺には関係ないしな。
なら一体どこの誰なのかと、俺は自問自答を繰り返した。
◆◆◆
作文の書き方講義もいよいよ後半戦。起承転結の話も残りは転と結である。
舞浜が黒板
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