結局のところ鷹巣隆也はわからない
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ほーん、つまり作文が書けなかったから手伝ってほしいと。なるほどねぇ……よそでやれよ! 作文くらい一人で書けよ!てか書けないとまずいだろ、将来的に。
俺が戦慄の表情を浮かべていると比企谷がガタッとイスを鳴らして立ち上がった。
「よし、手伝おう!」
「ちょっと待って」
比企谷の提案を舞浜が遮った。何があったのかとそちらを見れば、舞浜はゆっくりかぶりを振っていた。
「ここでただ単に手伝うのは彼の為にならないわ。それは本来の奉仕部のやり方から反するはずよ。自分で書かせるべきだわ」
舞浜の言葉に比企谷が言葉を詰まらせる。
実際舞浜の意見は正論だ。ここで俺たちが手伝ってしまうと助け無しでは作文が書けなくなってしまうかもしれない。特に作文は自分自身の事を描く物だ。人に頼ってしまってはそらは自分の文章とは言えないだろう。だからどんな形であれ作文は大志本人の手で書き上げるべきなのだ。別に高校の授業での作文で再提出を喰らうような事は滅多に無い、はずなんだけどなぁ。
それに対して比企谷の言い分も分からなくは無い。成り行きっぽかったが今この部活内では誰が一番奉仕できるかガンダムファイトだかビルドファイトだかが行われている。それに勝つことで誰か一人に何でも命令できる権利を得ることができる。その初めての依頼人をみすみす取り逃がすのは非常に勿体ない気がする。それにまぁなんだ、折角頼ってきてくれたんだから少し位は力になってやりたいという思いも無くは無い。
「やり方だけ教えてやりゃいいんじゃねぇの?」
俺の提案に舞浜は暫し考えるような間の後、頷いた。多数決的には俺と舞浜で過半数を得ているのでやり方だけを教えるという方向で問題ないだろう。比企谷にも異論は無いようなので早速大志に作文のなんたるかを教える事になった。俺たちは比企谷の提案でまずはなんかそれっぽい配置を作ろうということになったんだがなんだそれ?俺としては物凄くどうでもいのだが比企谷がやると言って聞かないので謎の席を作ることになった。
教室の中央に長机を置き、黒板側のに俺たち三人の席を設け、その向かい側に大志用の席を用意した。机を挟んですぐ近くに居ることを除けば面接と良く似ているかもしれない。
俺たちの席順だが、真ん中に比企谷を置き、窓側に舞浜、廊下側を俺という形になっている。
これでようやく始めることができるな。
セッティングを終え各々が席に着くと早速比企谷が両手で机を思いきり叩いて立ち上がった。
「早速行ってみようか、舞ちゃん!」
呼ばれた舞浜は重い溜め息を吐いて立ち上がり黒板の前まで移動した。
口頭で説明するのだとばかり思っていたから舞浜の意外な行動に視線が釘付けになる。
舞浜は近くにあった白のチョークを手に取る
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