結局のところ鷹巣隆也はわからない
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「ちゃんと、放課後奉仕部に行けよ?行かないとどうなるか分かってるだろうな?」
どこからかポキポキトと指の骨を鳴らす音が聞こえる。止めて先生。こわいよ!僕何もしないから!
「ちゃんと行きますよ」
俺は当たり障りの無い返事をしてその場を後にした。
◆◆◆
放課後、部室へと向かうため特別棟を歩いていた。部室に行かずにバックれるという選択肢は平塚先生の鉄拳制裁により消え去ってしまっているためやむを得ず行かなくてはならない。
とぼとぼ歩いていると突然右肩に軽く重みがかかった。何事かと振り返ると比企谷が笑っていた。こんな経験が滅多に無いものだからたじろいでしまう。
「やっはろー、隆也君」
比企谷の底抜けに明るい声に半歩引き下がった。なんだよ、その頭の悪そうな挨拶。どこかの部族の挨拶ですか?どうでもいいけどやっはとろー間に点を入れてやると外人の名前みたいでかっこいいな。ヤッハ・ロー。
俺の反応を見た比企谷は愉快そうに笑った。その笑った顔が癪に障ったので文句の一つでも言ってやることにした。
「そんなことされるとうっかり惚れそうになっちゃうから止めてくれ、俺みたいなやつに好かれると困るだろ?」
俺の言葉に比企谷は尚も笑顔を崩さなかった。この子すごいメンタル強くね?
驚きが顔に出てしまってたのか比企谷はいよいよ声を出して笑い出した。
「君みたいな人の相手はお兄ちゃんで慣れてるからね」
俺が質問しようと口を開くよりも早く比企谷が「とりあえず行こっか」と言って一歩前に出た。似たような光景を以前、ていうよりも昨日見ている。違うのは目的地くらいか。
俺は彼女の一歩分くらい後ろをついて行く。頃合いを見計らってから声を出した。
「お前の兄さんってどんな人なんだ?」
「隆也君みたいな人だよー」
俺の質問に比企谷はあっけらかんと答えた。だがそれくらいのことは知っている情報だ。むしろさっき比企谷が言っちゃってたので知らないほうがどうかしてると思います。
そんな回答では満足できるわけがないのでもっと詳しく聞くことにした。
「世の中同じ人間なんていないだろ?だから俺と比企谷の兄さんとどう違うのか教えてくれ」
聞かれた比企谷はこのままでは通せないと思ったのかため息を吐いた。
「そういうめんどくさいところはホントお兄ちゃんにそっくりだと思うよ」
「人間なんてだいたいめんどくさいだろ」
確かに、俺は面倒くさい人間なのかもしれない。自分でもそれなりにはめんどくさいって思うもん。
だけど、それは俺に限った話なのではないと思う。きっと人とは面倒くさい生き物なのだ。
俺の言葉に何を思ったのか比企谷は微笑んだ。
「そだね、人って面倒だ
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