空白期 中学編 24 「夜月家でのある日」
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「……何ていうか、少し落ち着かないね」
そう呟いたのは隣に座っていた紫がかった黒髪の少女――我の友人のひとりであるすずかだ。彼女の他にも向かい側になのはとアリサが座っている。
なぜすずか達がいるかというと、簡潔な言葉で説明すればお茶会だ。異性がひとりもいないので女子会とも言えるかもしれない。
お茶会を行っている場所は翠屋……ではなく我が居候している家。つまりショウの家である。すずかが落ち着かないのは異性の家を訪れていること。それに加えて、仕事の関係でショウがこの場にいないからだろう。
「気持ちは分からんでもないが、急な仕事が入ってしまったのだから仕方がなかろう。本人からはゆっくり楽しめと言われておる。だから何も気にせず楽しむといい」
と我が言うとすずかは納得したように見える笑顔を浮かべた。のだが……向かい側に座っているアリサが、どことなく意地の悪い笑みを浮かべているのが気になる。
「何なのだアリサ、言いたいことがあるのならはっきりと言わぬか」
「あっそう、じゃあ言わせてもらうけど……ディアーチェってあいつの嫁って感じよね」
あいつが指しているのは、流れから考えてショウのことだろう。
「き、貴様は何を言っているのだ!?」
わ、我があやつの嫁だと?
馬鹿なことを言うでない。我とあやつはまだ結婚できる年齢ではないし、仮に結婚できる年齢であったとしても互いのことを愛し合っている関係ではないのだ。
確かに過去には我やあやつの知らないところで許婚のような話があったらしいが、その話はすでになくなっておる。大体結婚というものは本人達の意思が重要のはずだ。よほど自分の理想どおりだったならば話は別だが、基本的に人から決められた相手と結婚はしたくないだろう。
「今日は小鴉やシュテルはおらぬからゆったりとした時間が過ごせると思っていたというのに……!」
「言えって言ったのはディアーチェのほうじゃない。それに実際あんた達の夫婦感っていうのかしら。かなりやばいレベルよ」
何がやばいというのだ。我らは別におかしいことはしておらぬぞ。
家事は基本的に我がやっておるが、これは居候としての責務のようなもの。たまにレヴィといった大食いが遊びに来るので買出しに付いてきてもらうことはあるが……。だがこれは協力して家事をやっているだけ。我らのように家事を行う子供は探せばいくらでもいるだろう。
他に我がやっていることなぞ……あやつは我より早く起きてランニングに行くから起こしたりすることはない。着替えを用意して朝食を作るだけだ。学校のある日はついでに弁当も作っておるが、別にこれは家事の一環としてやっているだけで他意はない。
「何がやばいというのだ。そもそも、あやつには我よりも親しい間柄の者がおるだろう」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ