空白期 中学編 24 「夜月家でのある日」
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どいよアリサちゃん」
「だってディアーチェのお菓子美味しいから」
一般的に考えてアリサを咎めるべきところなのだろうが……今のような言い回しをされるとこちらとしては言いづらくなってしまう。
……まあこやつらは親友と呼んでも問題のない仲だ。親しい仲にも礼儀あり、といった言葉もこの世界にはあるが、常識を知らない者はいないのだ。本当に傷つけるような真似をすることはなかろう。また必要以上に構ったりしても煙たがれるだけだ。毎度のように口を出すのも悪手であろう。
「そういえば、ディアーチェは最近大丈夫なの?」
「何がだ?」
「その、体重とか。この前ショウくんがディアーチェにお菓子作りを控えるように言われてる、とか言ってたから」
ぐ……ショウめ、余計なことを言いおってからに。いやまあ、別に口止めするようなことでもないのだが。
「あらそうなの? あたしならそんなこと言わないけどね。外に出なくても美味しいお菓子が食べられるわけだし」
「でも考え方によっては美味しいのが問題だったりするよね。つい食べすぎちゃいそうだし」
「そうなのだ……」
あやつの作るお菓子は試作品であろうと美味い。それに……素直な感想を言ったり、我の食べている姿を見るとあやつは嬉しそうに笑うのだ。
別に我だから笑っているわけではないが、我らに比べて笑ったりすることがないだけに友人としては嬉しく思ってしまう。
「しかもあやつは味見をしていることもあってあまり自分では食べん。レーネ殿は外出している時間が長いし、休みの日は桃子殿やリンディ殿と会うことが多いようだからな。捨てるのももったいない故に必然的に我が食べることになるのだ」
「あはは……それは確かに毎日のように作られると困っちゃうね」
「けどまあ、ある意味贅沢な悩みよね。……あたしもあいつと結婚したらそういうことを考えるようになるのかしら」
アリサのさわりと言った言葉に我だけでなくなのは達も盛大にむせたり過剰な反応を見せた。
でもそれは仕方がなかろう。アリサがショウに気があるような素振りを見せたことはない。そもそも、昔より話すようにはなっているが我らの中でも会話しない部類に入るはずだ。そんな彼女が結婚などと言い出せば知人ならば誰だって似た反応をするはずだ。
「ア、アリサちゃん……そうだったの?」
「は? 何よそのいかにも誤解してそうな顔は。言っておくけど、別にあいつのことなんて何とも思ってないわよ。まあ最低限度の異性としては意識しているし、最も親しい異性ではあるけどね。……そうね、なんだかんだであいつって優良物件だし可能性としてはなくはないわ」
ど、堂々とよく言えるものだ。
これだけはっきりと言われると何とも思っておらぬのだろうなとは思う。しかし、最後の部分は言う必要
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