第一一話「超人を唸らすただの人間」
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現された魔法も。俺を貫いたあのレーザービームすらもかき消せるんじゃねぇか?」
「猴の如意棒を……!?」
キンジは絶句する。つい先日見たばかりの光速の一閃。あれは間違いなく必殺の一撃で、キンジにはまだ攻略法すら見えていないのだ。それを右手が触れるだけで防ぐことができるとは……。
しかしキンジは、まだ上条当麻という人物を完全には理解できていなかった。
「けど……そいつが打ち消せるのは異能の力だけなんだろ?あいつ自身は特に戦闘訓練もしていないって言うじゃないか。だったら俺やジーサードが当たれば簡単じゃないのか?」
資料から見れば、彼はキンジたちのような荒事に日々まみれた武偵ではない。銃の使い方も知らないだろうし、素での戦闘能力は素人に違いない。
それにジーサードは「ハハッ」と薄い笑いを浮かべる。
「……あいつがただ右手に変な能力を持ってるだけの存在なら、あるいは今の世界は随分と違ったんだろうな」
「は?」
今の世界は随分と違う?どういうことだ?この少年は銅像が立つようなことをなんども
「他に数点、彼には突飛つすべき点があるわ。その異常なまでの「打たれ強さ」……ただの一般人が風速120メートルの暴風に吹き飛ばされ、風力発電の支柱に激突して、立ち上がれると思う?」
「「「「…………」」」」
今度こそ、本当に絶句した。
スケールがでかすぎて完全には理解できないが、それでも自分がヒステリアスモードになってようやく抜け出せるような危機にその少年は遭い、それに遭いながら立ち上がったということになる。もちろんキンジだってそんな激突の仕方をすれば立ち上がれまい。それ以前に死んでもおかしくない重症になるのは間違いない。
「更に……彼は人の心を解きほぐすのを得意としているのよ」
「猜疑心、復讐、諦め……今まで、そいつは様々な敵と闘ったらしいが……その多くが何かがねじれて暴走してる連中だったらしい」
「……」
自分とは正反対だな。とキンジは思った。キンジの場合立ち向かってくる敵は、何かが狂っているわけでもなく、ただ単純に闘うためにくる連中ばかりだ。おそらく、自分が今まで乗り越えてきたものとはまったく別種の方法が必要となってくるのだろう。
「彼の一番の力はそのねじれを解くことにあるのよ。一つ一つ、慎重に強敵の心の中の憎悪を解いていく。だからかしら……彼を損得ではなく感情で助けようとする人間は多い」
「上条勢力って言ってな」
「勢力」だなんて大仰な言葉を一笑に付すことは、すでにバスカービルの面々にはできなくなっていた。
「学園都市のレベル5、必要悪の教会、魔神……ウチの大統領も面識あるっていうから相当なもんだろ」
「……大統領……アメリカのロベルト・カッツェ大統領のこと
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