第一一話「超人を唸らすただの人間」
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後、その女性は自身の存在を明かした。
「遠山金次さん、神崎・ホームズ・アリアさん、星枷白雪さん、峰・理子・リュパン4世さん、レキさんですね。初めまして。私はデウス・エクス・マキナ・インダストリーの社業務執行取締役アイザック・ウェストコットの秘書を務めております、エレン・M・メイザースと申します」
「そう……あなたがDEM第二執行部部長のエレン・M・メイザースさんね」
「はい。私が世界最強の魔術師、エレン・M・メイザースです」
態度を崩さずに堂々と自分を「世界最強」と言ったその女性の絶対的な自信に、キンジたちは少し呆れ、守衛たちは脱帽するのであった。
──彼らは知らない。目の前の女性がビート板がなければ25メートルをろくに泳げない上、これが人類の限界なのだと明後日の方向に思い込むような人物であることを……。
エレン・M・メイザースに連れられ、会議室のような一室に通されたキンジが驚いたのは、単純にいるとは思わなかった身内がいたからである。
「お、兄貴じゃねーか。なんだ。兄貴も参加してたのかよ」
「あ、おにーちゃん。久しぶりー」
そこに座っていた遺伝子学上の自分の弟と自分に抱きついてきた妹を見つけ驚きを露わにしたのは、キンジだけではなかった。
「おまっ……ジーサード!?」
ジーサードとジーフォース。──和名は遠山金三と遠山金女。アメリカ政府の機関ロスアラモス・エリートにより生み出された「人工天才」にして、キンジの父・遠山金叉の遺伝子を50パーセント受け継いでいる、キンジの遺伝子的な弟と妹である。
しかし、彼はここにいてはいけない人物のはずだ。
「あんた……ついこの前、胸に穴が空いたって聞いたけど」
「あ?ああ。もう元通りだよ。ほれ」
キンジが驚いていて酸素が足りない金魚のように口をパクパク一番の理由は、ジーサードがつい先日、猴の如意棒という名のレーザーによって胸に穴を開けられたことが大きい。まだこんなに動ける体ではないはずなのだ。ジーサードは。
ジーサード自身が指で指してきた場所を見て、確かに傷口が塞がっていることに気づき、心配したこちらが馬鹿だったような、しかし弟の無事に安心したような、複雑な気持ちに陥る。
そして、見知った顔がもう一人。
「………………カナ」
「久しぶり、キンジ」
何故、彼──いや、今は彼女だが──がここにいるのか。十中八九キンジたちと同じ理由だろうが、それ以外にも聞きたいことはキンジには山ほどあった。
「カナも俺も……兄貴と同じ理由だよ。ここに来たのは」
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