幕間 〜幸せを探すツバサ〜
[10/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
チの指輪を付け続けたりもする。それを流行らせたい」
「おお! 面白そうだな、それ! そういうことならよろしく頼む!」
楽しそうに笑う店主とは違い、驚き見つめる三人の少女が送る眼差しは真剣そのもの。秋斗はその力強さに少し圧された。
彼女達は食い入るように銀細工の品々を見つめ出し、身体を寄せて小声で何やら語り出した。
(えんげぇじりんぐ……い、いいじゃない)
(綺麗な指輪を貰って婚約……へぅ)
(ずっとお揃いの指輪で過ごす……あわわぁ)
(秋斗からそんな話聞いてなかったの?)
(お、想いが繋がったのは戦に出る前でしたから……)
(じゃあ雛里ちゃんはその内貰うんだよね。秋斗さんだから多分、“さぷらいず”で)
(あ、あわわぁ〜〜〜〜〜っ)
(それでもし、雛里ちゃんが言ってたみたいに私達も受け入れられたら……へうぅ〜〜〜〜〜っ)
(ダメ! それダメよ! そんなことされたら女の子だったら誰でも嬉しいに決まってるじゃない!)
雛里も詠も月も顔を真っ赤に染めていた。
間違いなく彼なら、今のこの話を一切せずに雛里に指輪の一つでも送っていたはずなのだ。
妄想すれば止まらない。彼女達は恋する乙女。それぞれが思い描くシチュエーションで、指輪を渡されるその時を考えてしまう……それも詮無きかな。
「な、なによ……べ、別に嬉しくなんかないんだから……きざったらしいことしてんじゃないわよ」
「きょ、今日は月が綺麗で……は、はい……え……へぅ……」
「は、半分ずつの空が、き、きれいでしゅっ! わ、わたちもじゅんびしましゅた……あわ……噛んじゃった……」
もはや声がダダ漏れである。
秋斗は聞こえているが聴こえない振り。乙女が妄想している時は止めないのが彼なりの気遣い。どこぞの軍師のように鼻血を拭き出さない限りは彼も慌てない。
「また話が決まったら伝えるよ。いやぁ、試作中の“カメラ”とか服屋とかと提携させるのが楽しみだ」
「かめら?」
「おっと、内密の話だ。単語でさえ内緒な」
「まあ、いいけどよ。儲かるし人が幸せになるってのはいいこった。金持ちなら飛びつくぜ、絶対」
「だろ? だからさ……ちょいと安くしてくれ」
「まだ決まってない契約を対価に割引しろってか? そりゃあちょっと厳しいねぇ?」
「あー、そりゃそうだわな。其処にある華の首飾りを三つ欲しかったんだが……ちくしょうめ」
「この子達にかい?」
「ああ、安いやつで申し訳ないんだが、それでも足りなくてなぁ……」
「嘘だろ? 黒麒麟ならもっと金持ってるはずだろが」
「街の改善会合で娘娘にどれだけ通ってると思ってやがる。お前も日が浅いって言っても此処に来た商人なら知ってるだろ? 娘娘での分野ごと商人会合費は実費なんだぜ? 長老連とかはタダだってのにさ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ