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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
兄妹喧嘩 B
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いる。
湖札の拳は、一輝の頬に。一輝の拳は、湖札の腹部に。それぞれ全力で打ち込み、ねじ込んだ二人のうち、先に動いたのは・・・湖札。
頬に入れた拳は力を失ったように滑り落ち、一輝の横に向けて倒れていく。その体が地に落ちる前に、一輝が抱き留める。

「・・・どうにも、打たれ強さでは俺の方が上だったみたいだな」
「そう、だね・・・。あーあ、負けちゃった、なぁ・・・」

今にも飛びそうになる意識を無理矢理にとどめている湖札は、切れ切れに言葉を漏らす。
そして・・・

「・・・お兄ちゃんの、バカ。大好き」
「ああ、悪いなこんな兄貴で。・・・大好きだぞ、湖札」

戦いの最中にも交わされた言葉を交わし、完全にその意識を落とした。



  ========



「・・・ねえ、僕たちは本当にあれを相手にするの?」
「まあ、そうなるわね」
「本当にどうやって戦うんだろうね。湖札さんも取られちゃったし」

場所は戻って、一輝の部屋。その場所で画面に映る映像を見ていた三人が漏らしたのは、そんな感想であった。

「というか、そう思うんならあの子に今回の件を許可しなければよかったじゃない。あれだけの戦力をかけられるほど勝算があったわけじゃないでしょ?」
「まあ、それはそうなんだけどね・・・勝てるとしたら湖札さんくらいなのもあって、あのまま任せるしかなかったんだ」

首をかしげている二人の様子を見ると、リンは湖札から聞いた事柄を二人にも話す。

「一輝さんや湖札さん・・・要するに『鬼道』の一族は世界からある加護を受けてるんだよね」
「加護?それって、彼らが持ってるギフト『外道・陰陽術』のこと?」
「そっちじゃなくて。あのギフトについては一人の人間と一柱の大妖怪が協力して生み出したものだから。・・・それに、一方的に世界が(おこな)ってるだけだからギフトとしては発現してないし」
「なら、その加護は何なのよ?」
「う〜ん・・・冗談でも誇張でもないから、ちゃんと聞いてね?」

自分自身でも信じ切れていないその事実を、前置きをしてから二人に伝える。

「彼らが本気で相手を殺そうと思って戦った時、その相手の勝率を下げる・・・そんな加護」
「・・・それって、どういう?」
「私も伝聞だから、あんまり細かいところは聞かないでね」
「それはあなたの説明次第よ、リン」

ペストの言葉に対してうへぇとなるが、それでもちゃんと説明を始める。

「とはいっても、本当にそのままの意味だよ?どれだけ相手の勝率が高かろうが低かろうが、例外なくその格を落とす。運の要素しかないような接戦なら、彼らに幸運を訪れさせる。相手のギフトによって殺せないならそのギフトを使えないようにする。相手が不死だから殺せないならその不死の属性は消
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