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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
兄妹喧嘩 B
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み合っている二匹の蛇、その片割れであるヤマタノオロチの尾に触れ、

「神秘錬成、アメノムラクモ!」

その姿を一振りの太刀へと変え、一息に八面王を切り刻む。
ごくごく短い言霊によって発動した奥義、神秘錬成。一輝と戦うための力として湖札が編み出した奥義であり、その効果はいたって単純。名前の通りに、神秘を生み出すのだ。
ただし、これは誰もが使える奥義ではない。例えば今回であれば、ヤマタノオロチの尾からアメノムラクモの剣が出てきたという伝承があるから『尾に触れ、太刀へと変えた』。このような伝承があって初めて発動することのできる、少々面倒な奥義である。

だがしかし、それに見合うだけの代物ではあるようだ。ヤマタノオロチの原初の姿である八面王は完全に死亡し、一輝の中へと帰る。

「うっわー・・・存在の書き換えに、伝承からの武器生成とか。どこまで成長するんだよ、お前は」
「目標が兄さんに勝つ、だからね。どこまでやっても大丈夫な気がしないんだよ」
「だからって、まさか三種の神器を作り出せるほどの奥義を編み出すとはなぁ・・・っと!」

話している最中に湖札が襲い掛かってきたので一輝は残っていた剣を構えたが、触れた瞬間に砕け散った。やはり、武器としての性能に差がありすぎるのだろう。
だがそれでも湖札は止まらないため、一輝は自分自身も動いてよけながら蚩尤並びに兵主神の力で造りまくった武器を拾っては使い、どうにか凌ぐ。普段と違って特に意味もなく量産した武器だから実行することのできる戦法。とはいえ、それも限界があるためわざと一太刀を受けて、血を流した。
今の一輝は、アジ=ダカーハ(一輝)とでも表記するべき存在だ。なので、流れた血はそのまま双頭龍となり湖札に襲い掛かる。

「あー、とりあえず時間稼ぎ!」
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

少しばかりテキトーな一輝の命令にも双頭龍は従い、雄叫びをあげて湖札を食い止める。

「・・・鬱陶しいなぁ、もう!」
「オマエ、仮にも神霊級をその扱いかよ」
「大した敵じゃないし!」
「それには同意するけどな」

何だか双頭龍がかわいそうになってきた。ここまで言われてもまだちゃんと戦ってるんだよ、彼は。いやもしかすると彼女なのかもしれないけど、そこは気にせずに。

「まあ、でも・・・そんなに邪魔なら、消してやるぞ?」
「・・・・・・?」

これ以上増えられても面倒だと双頭龍を血を流さずに殺そうとしていた湖札は、一輝の言葉に内心首を傾げ、そちらを見る。そこには、握った拳を自分に向けている兄がいて・・・その手の甲では、蛇が口を開けている。

「存在の書き換えに神器の錬成と驚かせてくれた礼だ、こっちも別の形で驚かせてやる。・・・覇者の光輪(タワルナフ)!」

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