第6章 流されて異界
第116話 負傷
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の朝比奈さんの台詞の危険球に関する内容の打消しだったと思いましたから。
「そもそもプロ野球の投手はバッターに当てないのが基本。故に、頭にボールをぶつけるような技量の低い奴は退場させられたとしても文句は言えない。生命に関わる可能性もあるからな」
しかし、高校野球の投手の場合にそこまでの精度を求めるのは酷。故に、頭部への死球を行って仕舞ったとしても、それだけが理由で退場させられる事はない。
「でも、さっきの一球はどう見ても故意。自分たちのサードが負傷退場させられた事に対する報復じゃないの」
そもそもあんたの為にみくるちゃんが抗議してくれたのに、その肝心のあんたが否定するような事を言ってどうするのよ!
見えてはいないが、彼女がかなり不満げである事は言葉の調子から良く分かる。
ただ……。
「いくら故意でも、確実に俺にボールを当てられる訳はない。まして、さっきの球はストレートではなく変化球。躱そうとするバッターの動きを予測して変化球を投げるのはかなり難しいから、さっきの球は当ててやろうとして投げられた球と言うよりは、変化球を投げようとしてすっぽ抜けた球が偶然、頭部に当たったと考える方が妥当やと思う」
俺は身体を捻りながら後ろに倒れ込んだ。こんな特殊な避け方をするなんて考え付く訳はないやろうが。
もしも、リチャードくんが頭を狙って投げて来た、と仮定したとしても。
そう話しを続ける俺。それに相手が真っ当な人間ならば、この言葉は真実から大きく外れてはいないはずです。
但し……。
但し、ヤツラは特殊な能力を持って居るモノ。現実を捻じ曲げ、自分たちの思い通りの世界を構築出来る神に等しき存在。
自らの投げたボールを自在に操る事ぐらい造作もない可能性も有り。
最悪の可能性は因果律自体を操って俺がボールを躱そうとする方向を察知。そして、その方向に向けボールを曲げた可能性すら存在している。
「もしも本当に故意により死球を当てたのなら即時退場処分となるけど、それをアピールする場合は故意である、と言う確実な証拠を挙げる必要がある」
これを証明するのは不可能。そう言う内容の言葉で締めくくる俺。確かに真面な審判ならば視線や仕草、その他の情報から故意か、そうでないかの見分けを付けられる可能性も有りますが、今、この場を仕切って居る審判団ではそれも不可能。
まして、相手が発して居る雰囲気は虚無そのもの。心の内を覗き込もうにも深淵の向こう側を感じさせるだけで、人間的な心の動きを感じない以上、故意なのか、それともそうでないのかは流石に……。
そもそも自称リチャードくんが、俺に対してボールを当ててやろうと考えて居るのが分かったのなら、もう少し早い段階で対策を施しています。それぐら
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