第6章 流されて異界
第116話 負傷
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の俺を知って居たのなら、内容は同じでも、もっと俺に対するいたわり、……と言う感情を発して居るはずですから。
「それで、有希。何が違うって言うの?」
俺の頭。丁度、ボールが当たった辺りに右手を当てている有希に対してそう問い掛けるハルヒ。
閉じられた目蓋の裏に感じる光輝は未だ続く。そして、その光輝を感じ始めた瞬間から吐き気が治まり始め、心臓の鼓動と同期するかのように感じていた痛みがウソのように鎮まって行っていた。
これはおそらく手当て。普通の人でも痛む個所にそっと手を触れて貰うと、不思議と痛みが和らぐように感じる、……と言う現象を魔法にまで高めた治療法。正確にはそっと触れた右手から彼女の気を送り込む事に因って、俺自身の治癒力を高めている状態なのですが。
それに、有希の生体を維持しているのは俺が生成した気。俺の場合は龍気と言う代物になるのですが……。
元々長門有希と言う存在は涼宮ハルヒと名づけざられし者とが1999年7月7日の夜に接触する事に因って誕生した情報統合思念体……。おそらく、実体を持つ事のない高次元意識体に因って生み出された、対有機生命体接触用端末と言う存在。彼女単体では活動する事が出来ず、常にその情報統合思念体と言う存在から生体を維持する為のエネルギーの供給を受ける存在であった。
しかし、今年の二月に起きた事件により、その涼宮ハルヒと名づけざられし者との接触が起きると言う過去自体が存在しない、――この世界に取って本来の歴史に戻った為に、その情報統合思念体と言う宇宙誕生と同時に発生したと自称している怪しい存在も、初めからこの宇宙には存在していない事となり……。
その際に長門有希と言う人工生命体は、とある仙人作成の那托としてこの世界に残ると言う未来を選択。情報統合思念体から受けて居た生命エネルギーの供給を俺から受ける、と言う事に置き換えて現在に至って居る。
故に、彼女から分け与えられる気は龍の気。それも彼女の質により多少変質している。彼女は女性で有るが故に、俺から受け取った陽の気を自らに相応しい陰の気へと変えて自らの生命を維持して居るはず。
その陰の気を俺が受け取れば、傷を受けた事により活性化し過ぎて居る陽の気を落ち着かせて、精神を鎮める効果を発揮するはずですから。
もっとも、今重要なのは其処ではない。
「危険球のルールが有るのはプロ野球。高校野球には頭部にデッドボールを当てたトコロで、別にその投手が即時退場処分になるようなルールはないで」
有希が答えを発する前に、ハルヒに……いや、おそらくこの場所に集まって来ているチームメイトすべての疑問に対して、膝枕状態で大地に仰向けに成って寝て居る俺から答えを告げて置く。
おそらく、先ほどの有希の台詞……それは違う、と言う台詞は、直前
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