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とある緋弾のソードアート・ライブ
第一〇話「PIS」
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 フィジカル・インフォメーション・システムについてキリトが興味を持ち始めたのは、「ザ・シード」をエギルの手を借り回線の太い世界中のサーバーからダウンロードできるようにした、ちょうどその頃だった。

 物質のデータを現実世界に投影し、現実にあるものとして実体化することのできるこのシステムは、理論上の実現可能性が学会へ発表されているものの、実用化に至ることはないと言われてきた技術である。

 その大きな原因は、実体化のもととなるエネルギー資源が、現在の自然環境下では圧倒的に不足していることが指摘されている。

 もし、質量を持った物質を無から生み出すには、1グラムにつき町一つを一瞬で滅ぼすことのできる核爆弾に相当するエネルギーが必要不可欠なのだ。現代の科学ではそれほどまでの膨大なエネルギーを、完全にクリーンな方法で扱うことは不可能である。

 そのため理論は10年以上前にも出来たにも限らず、長いこと宙ぶらりんになっている技術なのだ。

 ──のはずだった。

「…………マジか」

 自分の手のひらを動かしながらキリトは小さく呟く。初めは実感がなく小さかった動揺が徐々に大きくなる。

「マジか」

 いつもの感覚で、メニュー画面を開いてみる。実際に視界に現れたそれを選択し手に現れた重みに対して、キリトの目が輝いているのに、アスナは気付いた。

「──マジなのかぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 少年の雄叫びは、夜の学園都市に響き渡る。

 現在キリトは黒いコートを着、手には1振りの黒剣が握られていた。

 その姿はまるで──SAO攻略法にて猛威を振るい、事件収束の立役者となった伝説のソロプレイヤー「黒の剣士」そのものだった。

「す、すげぇ……本当に現実に、SAOのキリトが出てきやがった…」

 絶句しているのはクラインだけではない。VRMMOは確かに現実に近い感覚を得ることができるシステムだ。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。あらゆる感覚を脳に直接送ることでVRMMOは現実とほぼ同じような擬似の世界と化したのだ。

 しかし、これはVRMMOとは次元が違う。

「自分の体を核として情報体の装備やステータスを上乗せするって感じだけど……ま、そう深く考えないで」

 そう言うのは自称このシステムの開発者というキーナである。先ほどはキャンピングカーに置かれたパソコンに向き合い、何かのデータを打ち込んでいた彼女だが、いきなり「もう、キリトくんのアバターデータをPISの範囲内に取り込んだから、これ付けていつもの感じでメニュー画面つければ大丈夫だよー」とゴーグルのような物を渡されたときは、まだ半信半疑だった。

「痛みはダメージ換算されるからある程度軽減されるよ。HPバーは出て
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