第一〇話「PIS」
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うじゃない』という男の否定がアリアの携帯電話から向こう側から返される。
『我々の目的は彼らを「救う」ことだよ』
「救う……?」
不知火の疑問形の返しを聞き取ったのか、男はご機嫌に話し続けた。
『そう。彼らも学園都市の科学者──「大人」たちに利用されているだけなんだ。彼らも気づかずにモルモットとして。そこに彼らは気づいていないんだよ』
そこでようやく、キンジはこの男がやろうとしていることを完全に理解した。
『我々の目的は彼らを救い、学園都市の闇を世間に公表することだよ。そのために、君たちに彼らを保護して欲しいのだ。これは最早学園都市だけで片付けられる問題ではないのだ』
「…………」
資料の中には明確な証拠とともに、学園都市が推奨しているという生物兵器や人体実験についても詳しく記述されていた。偽の依頼とも精通する箇所である。
確かに、この話が本当ならば、大変なことになるだろう。
『もちろん危険な依頼だということは分かっている。東京武偵校とはすでに話は付けてある。報酬も、我々が用意できる範囲ならなんでも提供しよう。もちろん、神崎かなえの厳刑も可能だ』
『どうかよろしく願いたい……』と締め括り、携帯からの声が沈黙する。
しばらく思案した後、キンジは同じように思案してる顔になっているアリアの顔を見た。
「アリア……俺はこの依頼、受けてもいいと思う」
「僕も……遠山君と同じだ」
キンジが投げかけた率直な意見は、どうやら不知火も同じものだったらしい。
「……俺もだ。最初は騙してたことに苛立ちが無かったって言ったら嘘になるが、どうやら事情があったみたいだしな」
武藤も続く。それに続いて、白雪や中空知も賛同し始める。
軽く目を瞑り、黙考するアリア。
「──わかった。その依頼、受けるわ」
反論する者はいなかった。
『!!……そうか。ありがたい』
「あのさー」
携帯からの声に続いて発言をしたのは、今まで場を見守るだけだった理子であった。
『?』
「レベル5は7人って聞いたけど…1人多いよね?」
『ああ。成る程』
確かに、ページの一番後ろにある保護対象者のリスト。そこにある名は全部で8つだが、土御門に聞いた話ではレベル5は7人のはずである。
記されている情報は8人分。
第一位。本名不明。能力名『一方通行』。運動量、熱量、電気量、光といった、あらゆるベクトルを観測し、操る能力者。ありとあらゆる攻撃を自動的に跳ね返すことが可能。また、それらは超能力や魔術にも干渉可能。
第二位。垣根帝督。能力名『未元物質』。『この世に存在しない
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