第一〇話「PIS」
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に手を出せば床に転がることになるのは自分たちだと分かっていたからだ。触らぬ神に祟りなし。考え無しで行動できるほど、自分たちはまぬけではない。
「キスとかいいな」「しかも複数の子とか羨ましすぎる」とか言った時には、自分たちは死体となって、翌朝のニュースを賑わすこととなるだろう。
「……はまづら?どうしたの?」
「なんでもないぜ。滝壺」
「とうま?何考えてるの」
「なんでもないよ。インデックス」
そんなギリギリの綱渡りと錯覚しそうな感覚を持ちながら、上条当麻と浜面仕上は微笑んで見せた。
3,
話は少し前に遡る。
キリトたちがPISに興奮していた頃、別の場所で、別の少年たちに動きがあった。
学園都市最高峰の7人の能力者たち。レベル5。
その中でも、理解不能な能力を先天的に持ち合わせた「原石」と呼ばれる存在の中で、レベル5認定された唯一の超能力者がいる。第七位とレベル5の中での序列は一番下であるが、これは能力の応用性を指すものであり、実力は序列には関係しない。
通称「ナンバーセブン」。削板軍覇。
白ラン、鉢巻、旭日旗のTシャツという一昔前の番長のような格好をしたこの少年は、何かと事件に首を突っ込む性格と性質を持っているのだが──その日はとくに何もなく(本人にとってはつまらないと取れるのだが)小腹が空いたので偶然通りすがったパン屋でパンを買うことにしていた。
「いらっしゃいませー」
カウンターにいる青髪糸目の少年を一目しながらカレーパンやメロンパンなどめぼしいパンを幾つかトレイに乗せる。
「480円になりまーす」
なんとなく適当な感じがする接客だったが、削板はそんなことも気にせず、500円玉をポケットから出し、お釣りを受け取った。
「ありがとうございやしたー」
店を出て、削板はパンを袋から出して食べながら夜の学園都市を歩いていた。
「……なんか根性のあるようなことはねーのかな」
無意識に口から出た言葉。ようするに「暇」ということだ。
あの、手から龍を出した少年や、自分を完膚なきまで叩きのめした男のことが思い出された。彼らはかなりの根性を持った者たちだ。いずれ合えば、手合わせを願いたいと削板は考えている。
そんなことを考えながら食べ歩きしていた削板だったが、ふと、携帯電話が鳴っていることに気づいた。
「お?」
学園都市では中々聴くことのない演歌のメロディーが流れる携帯電話に浮かぶ相手の番号は知らない物だった。メールである。
「…………」
このような時のメールは大体が統括理事会の頭でっかちのインテリによる根性のない文だと、削板でも察しが付いて
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