暁 〜小説投稿サイト〜
とある緋弾のソードアート・ライブ
第一〇話「PIS」
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
界的にも有名なDEM社はこの子たち精霊という存在を狙っている組織って裏の一面もあるってことは分かったけど……そもそも精霊ってなんなんだ?」

 至極まっとうな質問を向けられたのは、十香たち精霊だった。先ほどから多用されている単語だが、そもそもそれが何なのかをこの場にいる半数は理解していなかったのである。

 本来ならば、士道にもしたようにそれらの説明は、精霊との対話による空間震災害の解決を目的として結成されたラタトスク機関を代表して、琴里または令音がするべきことなのである。ところが、琴里はまだ精霊についての詳しい説明をするか、判断を下せていなかったのである。

「…………」

 その理由は士道にも分かった。

 彼女たち精霊の大部分は、士道に会うまで周りに「否定」され続けてきた少女たちだ。特に十香や四糸乃、七罪はそれによって得た傷跡は深い。今は面影もないが、十香などは士道と会うまでASTの攻撃に晒され続けていたので自分による人間を全て敵と認識していたくらいだ。

 士道はそんな彼女たちを肯定した。しかし、人が全員、士道のように彼女たちの存在を肯定するような人物ばかりではないのだ。

 もし話したら──十香たちに漂う不穏な空気からは、また否定されるのではないかという、不安が色濃く感じられたのである。

「安心しろ」
「へ?」

 いきなりのオティヌスの言葉に狼狽えたのは十香であった。オティヌスは柔らかい笑みを浮かべながら、それを口にする。

「別にお前らがなんだろうと、少なくとも私とこいつらはお前らのことを否定なんてしない」

 15センチほどしかない少女の言葉には、全てが詰まっていた。何せここにいる1人の少年は本気で彼を壊そうとした自分を「ただの女の子」といって救おうとしたほどのお人好しの馬鹿なのである。

 だから、かつて自分と同じように1人を除いて世界の敵意に否定されただろう少女を見ながら、その1人と敵意をほんの少し上回る世界の善意に救われた元魔神の少女は笑った。

「だから、大丈夫さ」

 オティヌスの言葉を聞き、周りの皆の顔を見て、十香たちの不安という雰囲気が払拭されたのを確認した琴里は口を開いた。

「──説明するわ」
「……いいのか?琴里」

 令音の問いかけには、ラタトスク機関の最高幹部連たる円卓の許可なしに部外者に精霊についての情報を提示することも含まれていた。

「このような緊急事において全指揮権はフラクシナスの司令である私にあるわ。私の判断なら文句は無いでしょう」
「……そうだな」

 フラクシナスの一癖どころか癖しかないメンバーを纏めるその実力は令音がよく知っている。何より、令音もこの者たちなら話しても大丈夫だろうと判断していた。

 令音の納得したうなづ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ