第一〇話「PIS」
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いなかっただろう。
「ま、違う世界には不可能を可能とするような便利なエネルギー結晶体と力場があるとか、そう考えてくれればいいよ」
ケラケラと笑いながら簡潔に纏める。理解はできないが、そう言われれば納得せざるを得ない。なにせ、自分たちはまだそれぞれの世界を完全に知ったわけではないのだ。
「ともかく」と目を向けられたキリトは、指を指された自分の体を見ながら、キーナの言葉に耳を傾けた。
「キリトくんたちは現実ではただの非力な一般人だけど──ゲーム内では敵なしの「黒の剣士」や「バーサーカーヒーラー」なんだから。これさえあれば」
「……確かに、戦うことくらいはできそうだな。…ってか、俺やアスナの異名もあの本に載ってたのか?」
キリトの質問だったが、「私もやりたーい!」「私もやりたいです!」「俺も俺も!」と名乗り出る自身の仲間の声によって掻き消されていた。自分でも分かるくらいテンションが高くなっているので、彼らのこの反応は仕方のないのだろう。
「痛みが軽減ですか……上条さんもやってみたいですな」
そしてキリトの仲間以外に名乗りを上げたのは、「痛みの軽減」に釣られた上条であった。
この前の事件で規格外の化け物から15発拳を貰った上条。ここのところ怪我しては病院送りになるばかりなので、痛みの軽減は夢のようなアイテムに違いない。
「いーや、流石に幻想殺しの再現は無理だよー。ってことで上条くんは無理なんだー。ごめんね」
「あ、そうなんでせうか…」
が、どうやらその夢は叶わなかったらしい。上条にとって「幻想殺し」は大事な力の一つだし、これがあるから出来ることも多い。流石に引き換えに失うのは避けたほうがいいのは間違いない。
よくよく考えてみれば、これを手にしたらいつもの倍の痛みが来るとか、自分の場合、結局は軽減されてもいつもと同じことになるに違いない。このようなことが平気で起こるのが、上条当麻の「不幸」なのだ。
仕方なく諦めることにした上条。そんなことを思う時点で、人生には諦めていないが自分の幸福については既に諦めている節があるのだが、それを指摘する者は誰もいない。この場にいるほとんどが、上条の「不幸」に関してよく理解していない人物なのだ。
「んじゃ。とりあえずアスナちゃんたち全員分、やってみますかね」
紅に人数分用のゴーグルに似た装置をもう一台のワゴン車から取り出してくるようにと言いながらキーナは、再びパソコン内に何かを打ち込み始めるのであった。
2,
キリトに続いて現れた血盟騎士団副団長「閃光」のアスナやギルド風林火山のギルドリーダークラインの興奮がようやく冷めたころ、浜面は話題を切り出した。
「──で、世
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