第二百八話 小田原開城その五
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「天下にじゃ」
「それがしの才を使い」
「天下と民を幸せに出来るか」
「では」
「御主をわしの家臣にしたい」
強い声でだ、信長は氏康に告げた。
「御主の家臣達も。北条家の全てをな」
「天下の統一と泰平の為に使いたいと」
「そして繁栄の為にじゃ」
是非にというのだ。
「使いたい」
「その為に」
「どうじゃ、来るか」
自身の下にというのだ。
「わしのところに」
「それがしは関東よりもか」
「さらにじゃ」
「天下に」
「その才を天下に使ってもらいたいのじゃ」
氏康の目を見たままの言葉だ。
「どうじゃ」
「最初から降るつもりでしたが」
氏康は信長の言葉を受けてこう返した。
「織田殿がそれがし以上の器と感じたが故に。しかし」
「しかしか」
「それがしの思っていた以上でした」
天下統一とその後も考えていることからだ、氏康はそのことがわかったのだ。
それでだ、こうも言ったのだった。
「それでは」
「降りか」
「この氏康、及ばずながら」
態度を畏まらさせてだ、信長に述べた。
「尽くさせて頂きます」
「それではな」
信長は氏康を微笑んで迎え入れた、こうしてだった。
本願寺との和睦が切れ再戦となってからの長きに渡る戦が終わった、戦を終えた信長は本願寺を降し幕府も滅ぼし毛利、武田、上杉、北条を組み入れてだ。他の大名達もその中に取り込み近畿、山陽、山陰、四国、甲信、北陸、関東を完全に手中に収めた。まさに天下の殆どを持つ事実上の天下人となったのだった。
北条家はその石高を大きく減らされ北条家本家自体の石高は四十万石程とされた。そして残った領地は二十八将達がそれぞれ小大名として分け与えられることになった。他の関東の大名達の石高もそれぞれ決められた。
そうしたことを終えてだ、信長は関東中に向けていた兵達と諸将を武蔵に集めた。その集めた場所は江戸だった。
その江戸に来てだ、まず言ったのは家康だった。彼もまた盟友として信長の下に戻って来たのである。
「氏規殿も」
「降ったか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「吉法師殿のお言葉に従い」
「織田家にか」
「入られたいとのことです」
「よいことじゃ、そして忍城もじゃな」
「はい、小田原が降ったと聞いてです」
石田が答えた。
「そのうえで」
「そうか、それではな」
「全ての城がです」
「降ったな」
「これで」
「よいことじゃ、これは関東は全て織田家のものとなった」
そうなったことをだ、信長は確かめてだった。
そのうえでだ、一人の武骨だがそれでいて整った顔の男青ではなく深い緑と黒が混ざった様な色の愚
具足の男佐竹義重に対して問うたのだった。
「それでじゃが」
「はい、伊達のことですな」
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