第四十七話 院長の話その十二
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「全然違うってな」
「言ってるわね」
「実際にベースの料理のボリューム凄いしな」
「それを考えたら」
「日本で食べる料理の殆どはな」
「日本人に合う様にアレンジされていて」
「日本のお料理になってるんだよ」
そうなっているというのだ。
「つまりはな」
「そういうことね」
「だからナポリタンもなんだよ」
ここで話が戻った。
「日本のお料理なんだよ」
「日本人に合う様にされた」
「そういうものだよ。あとな」
「あと?」
「さっきお師匠さんの話したけれどさ」
薊は今度はこの人の話をするのだった。
「よかったら明日さ」
「その人ともなのね」
「会ってくれるかい?」
裕香だけでなく他の少女にも言った言葉だ。
「そうしてくれるかな」
「うん、じゃあね」
それならとだ、裕香も他の少女達も微笑んで答えた。
「私達にその人紹介してね」
「それじゃあな」
「どんな人かね」
裕香は薊に微笑んでこう返した。
「楽しみだし」
「いい人だよ、院長さんと一緒であたしの人生の先生だよ」
「拳法のことだけじゃなくて」
「ああ、人生のな」
「先生なのね」
「そうなんだよ、とにかく素晴らしい人で」
その人格故にというのだ。
「あたしに色々と教えてくれたんだよ」
「そうした人なのね」
「拳法、まあスポーツは全部身体だけでなく心も鍛える」
薊はこのことは真面目な顔で話した。
「そう教えてくれたんだよ」
「心身共に鍛えてこそ」
「拳法だってな」
ここで心が備わっていない拳法もあるのが現実だ、これは拳法だけなくあらゆる格闘技、武道、スポーツで存在していることだ。
「心がないとな」
「只の暴力よね」
「ああ、暴力は振るうなってもさ」
「お師匠さんに言われたのね」
「そうなんだよ、じゃあ明日な」
「うん、その人のところまでね」
行こうと話してだ、そしてだった。
薊達はこの日は薊の育った孤児院で過ごした、彼女のルーツを完全ではないが知ることが出来たことに手掛かりを感じながら。
第四十七話 完
2015・1・23
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