第四十七話 院長の話その十一
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「ナポリタンは」
「じゃあ日本の食べものね」
「そうそう、洋食ってな」
まさにとだ、薊は裕香のその指摘に頷いて返した。
「外国から来た人皆言うよな」
「日本のお料理ってね」
「そう言うよな」
「実際にそうなのね」
「由来はあっちだけれどな」
欧州だ、スパゲティにしてもイタリアからのものであることは言うまでもない。ハンバーグはドイツでありコロッケはフランスだ。
「それでもな」
「日本人が明治時代から食べはじめて」
「アレンジしていったな」
「日本のお料理ってね」
「そう言われたな」
「そうなのよね」
「だからな」
それで、というのだ。
「洋食も日本の料理なんだな」
「和食と同じで」
「和食は言うまでもないけれどな」
『和』という言葉に全て出ている、この言葉は日本そのものを表しているからだ。
「洋食もなんだな」
「日本人はそうは思っていないところあるけれど」
「味がもう完全にな」
「日本人好みになってるからね」
「そうだよ、アメリカ人もね」
院長も言うのだった。
「そう言うよ」
「アメリカ軍のな」
「うん、薊ちゃん達もアメリカの味は知ってるね」
「ベースでな」
「あれがアメリカの味なんだよ」
ベースは海軍の基地だからだ、だからその味もアメリカの味になるというのは当然と言えば当然のことなのだ。
「そういうことだからね」
「だからか」
「そう、あの味と比べたらわかるね」
「同じハンバーグでも」
裕香はこの料理を比較して言った。
「違いますね」
「そうだね」
「アメリカのハンバーグはアメリカの料理ですね」
「そして日本のハンバーグはね」
「洋食ですね」
「そうなるんだよ」
「不思議な感じですね」
ここでこうも言った裕香だった。
「洋食が日本のお料理って」
「いや、これがさ」
薊がまた裕香に話す。
「あたしの拳法のお師匠さん華僑の人だけれど」
「中国からの人ね」
「ああ、師匠が言うにはさ」
薊はポテトサラダ、薩摩芋のそれも食べつつ話していく。
「ラーメンもなんだよ」
「中国のものかというと」
「日本のものだって言うんだよ」
「そういえばうちの学園中国や台湾から来てる人も多いけれど」
香港やマカオ、そして各国からの華僑も来ている。八条学園は世界各国から留学生が集まるまさに人種の坩堝なのだ。
「あの人達も言うわね」
「そうだろ、言うだろ」
「うん、ラーメンとか餃子、炒飯は」
「中国の料理じゃなくてな」
「日本のものってね」
「言ってるだろ」
「特にラーメンね」
日本人の多くが中華料理の代表と思っているこれがだった。
「それがね」
「中華料理じゃなくて日本の料理ってな」
「言ってるわね」
「そうだろ、海軍さんの人な
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