第四十七話 院長の話その七
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「横須賀観光な」
「それに出るのね」
「ああ、そうするか?」
「それには少し時間がないんじゃ」
裕香は薊の提案にこう返した。
「もうね」
「ああ、今は二時か」
「ここから横須賀中央まで出るのに少し時間があるわよね」
「確かにな」
言われてみればそうだとだ、こう返した薊だった。
「それだと海自さんの基地に行ってもすぐに帰らないとな」
「五時までなの?」
「いや、自衛隊は四時半までなんだよ」
八時にはじまりだ。
「だからもうな」
「海自さんの基地にお邪魔してもね」
「ユーターンになるな」
「そうよね」
「じゃあ今日は基地は駄目だな」
薊もそこに行くことは諦めた、だがそれでもだった。
あらためてだ、こう裕香に提案した。
「他の場所行くか」
「他の場所?」
「街とか海見るだけでもさ」
「横須賀はいいの」
「ああ、だからな」
それで、というのだ。
「今日はその辺り観て」
「そしてなのね」
「明後日に神戸まで帰るから」
「明日になのね」
「海自さんの基地に行ってな」
そして、というのだ。
「それでな」
「そのうえでなのね」
「横須賀中央の辺りも回るか」
「そうするのね」
「ああ、それじゃあな」
こう話してだ、この日は夕食まで一同で孤児院の近くの場所を見て回った。街や海を見るだけでも確かにかなり楽しめた。
夕食はスパゲティだった、そのスパゲティを食べて。
裕香は目を瞬かせてだ、同じテーブルにいる薊に言った。
「凄くね」
「美味いだろ」
「うん、このナポリタンね」
「ただのナポリタンじゃないんだよ」
薊もそのナポリタンを食べつつ言う、見れば九人共相当に大きな皿に山盛りになっているナポリタンを食べている。
「オリーブオイルにさ」
「中に大蒜入れてるわね」
「唐辛子も効かせて」
「だから美味しいのね」
「そうなんだよ、普通の洋食屋さんのナポリタンじゃなくてさ」
「イタリア料理店のスパゲティに近いわね」
裕香はそのオリーブと大蒜が効いているナポリタンを食べつつ述べた。
「それにチーズも」
「粉チーズ入れてな」
「パスタにはチーズだからね」
「何ていってもな」
この組み合わせが最高に合うのだ。
「それに茹で加減も」
「パスタのね」
「いいだろ」
「アルデンテね」
「玉葱もベーコンも入れてな」
「ここまでの美味しさなのね」
「実はここあまりお金ないんだよ」
薊はこのことは苦笑いで言った。
「まあ何処でもそうだろうけれど」
「いやいや、うちはね」
少女達と一緒に食べている院長が笑って言って来た。
「かなりあるよ」
「孤児院としてはだよな」
「そうだよ、八条グループが運営しているからね」
「孤児院は何処も経営が
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