第六幕その九
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「よかったわ」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「女王さんに女王さんの旅の目的を聞いたけれど」
「そのこともお聞きしたの」
「ええ」
それも既にというのです。
「話して聞いたわ」
「それはどういったものなの?」
「何でもウーガブーの国が大変なことになってるらしいのよ」
「大変なことって」
「虫が出てるらしいの、一杯ね」
「虫?」
「どんな虫かはわからないけれど」
それでもというのです。
「もう国中を埋め尽くして大変らしいのよ」
「作物を荒らす虫かな」
ハンクは猫のお話を聞いて眉を曇らせました。
「そうした虫だったらね」
「そうよね、林檎もね」
ベッツイはすぐに黄金の林檎のことを心配しました。
「食べられて」
「林檎がなくなるかも知れないよ」
「そうなったら大変よ」
ベッツイはお顔を強張らせてハンクに答えました。
「若しそうなったら」
「そうだね、それじゃあね」
「ええ、どんな虫なのかよね」
「何でも今のところは何も被害は出ていないらしいわ」
猫がその虫のこともお話してきました。
「女王さんが言うにはね」
「作物には?」
「勿論林檎にもね」
「ならいいけれど」
「けれど虫で一杯でね」
「国中が?」
ベッツイは猫に尋ねました。
「そうなのね」
「そう、だからね」
「それを何とかしたくてなのね」
「女王はクマセンターに行ったらしいわ」
「あそこのピンクの小熊に聞きに行ったのね」
「ピンク=ピンカートンにね」
「そういうことなのね」
ベッツイは猫から事情を聞いて納得したお顔で頷きました。
「わかったわ」
「じゃあまずはね」
「ええ、クマセンターに行って」
そうしてと言うのでした。
「女王にお会いしましょう」
「今からね」
「有り難う、行って伝えてお話してくれて」
ベッツイは猫に笑顔でお礼を言いまいた。
「お陰で助かったわ」
「礼には及ばないわ」
猫はそのベッツイに誇らしげに返しました。
「当然のことだから」
「今回のことが」
「そう、当然のことだからね」
それでというのです。
「これ位のことはね」
「貴女ならっていうのね」
「風みたいに速く駆けてしかも休めない」
猫は胸を張ったまま言うのでした。
「これが出来るのはオズの国で出来るのってそんなにいないでしょ」
「木挽きの馬とウージィはそうね」
「かかしさんや木樵さんは出来ないでしょ」
「あの人達も休む必要はないけれど」
つぎはぎ娘もこのことは同じです。
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