誓い-ラグドリアン-part1/空賊と王子の友情
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が彼らと会話する。黙っているんだ」
炎の空賊たちと戦いに来たわけではないのに、ここで相手の気に障るようなことは避けなければならない。ウェールズは同行した貴族たちを黙らせ、一歩前に出る。
「私はアルビオン皇太子ウェールズ・テューダーだ。君たちと会談するために来訪した。船長はご健在か?」
礼節を持ったうえで、なるべく相手から舐められるような様を見せない。凛とした態度でウェールズは自己紹介する。
「会談だと?」
ガル船長が目を細める。
「君たちのおかげでレコンキスタ…あの叛徒たちに状況としては均衡を保っている。だがいつそれが崩れるかわかったものではない。それに同じ敵と相対している以上、我々はともにうまく連携を取り、勝利の可能性を少しでも高めることが合理的と考えている。
我々と、盟を結んでもらえるか?もし盟を締結してくれるというのなら、相応の恩賞を約束する」
賊なら、王室からの褒章は喉から手が出るほどのものだろう。…普通ならば。
グレンは先頭に立つウェールズの姿を凝視する。そして一種の嫌悪感を抱き、ウェールズに向けて言い放った。
「よう皇太子の兄ちゃん。なかなかいいこと言ってくれてるじゃねえか。けどな…あんな卑怯者共の誕生の原因が自分たちにあるってことから目を背けては、連中の好き勝手を許すわ、果ては自分たちだけじゃ勝てないから俺たちに盟を求める自分たちが恥ずかしくねぇのかよ?」
彼から見ると、ウェールズはなよなよしていて弱そうな優男。そんな印象があった。確かに理知的ではあるが、弱いくせになにかと夢を見てるような希望理想論ばかり吐いて吼えるだけの子犬のようだ。
「貴様!!皇太子様になんて口の聞き方を!」
「いや、それだけではない!我々を侮辱するとは…賊の分際で!分をわきまえろ!」
グレンの暴言に対して激昂する同行者の貴族たち。我慢なら無くなり杖を引き抜こうとするが、直後にウェールズの怒鳴り声がとどろいた。
「お前たち!誰が口を開けと申した!今は私が話を持ちかけているのだぞ!!!」
「で…殿下…」
いつもの物腰柔らかな印象など、そこには微塵も無かった。まるでこの世に覇を唱える覇王のような気迫を放つウェールズに王党派の貴族は思わず言葉を失った。それはグレンも含めた空賊たちもまた同様だった。
「今の我々は、彼らに頼みを申し出に来たのだ。無礼な口を開くのなら、その口を我が風の魔法で切り裂く!」
ここまで来ると、貴族たちは何もいえなくなり、黙るしかない。
「…ふん。青臭いだけの小僧だと思っていたが、悪くない気迫だのぅ」
ギルがその気迫に戦慄を覚えつつも、それだけのものを放ってきたウェールズに関心さえも覚えた。貴族というものは、見栄を張るだけで、権力と地位がなくなると一気に弱々しくなる口先ばかりの弱っちぃ連中とばかり思って
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