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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
誓い-ラグドリアン-part1/空賊と王子の友情
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えば、確かにどうして自分たちは戦うのか?
戦場で華々しく死んでいったところで、結局平等に死が待ち受けている。それだけだ。他の人間はその死を悼むことだろうが、それを民たちが求めているものなのか?
権威を保守するため?それでは、権力と物欲ばかりが膨れた愚か者でしかないではないか。
「考えた末に、僕は一つの答えにたどり着いた。それは…」
ウェールズの脳裏に浮かぶ、ラグドリアン湖でのアンリエッタとの密会と逢引。そして湖畔で彼女が自分に言ってくれた…『愛の誓い』。
「誇りや名誉よりも、民を守るため。自分たちの愛する者たちが苦しむのを避けるためだ。それが、平民たちを導く貴族としての本来の筋というものではなかったのだろうか?」
周囲が、静かになった。反論したいと思う者もいるだろう。まるで平民に膝を折るとも聞こえるウェールズの発言。貴族が自分たちより格下の存在のためなどに…と言いたそうにしている者がウェールズの視界に移る。
貴族とは、民の上に立って彼らを導くのが本筋。だが時代を経ていくうちに、自分たちは選ばれた存在だの、平民が貴族に奉仕するのは当然のことだのと…権力を持ったがために、同じ人間に対するものとは思えない対応をする貴族が当たり前になってきている。
それが間違いだと気づきつつあったウェールズだが、すぐに改めろといわれてそれができるほど人間とは単純ではない。だが、いつまでもこのままであっては、たとえレコンキスタがいなくいてもアルビオンも、他の国々もほころびが生じ、自ら滅んでいくことも懸念された。
「…少し話がそれてしまったな。だが、我々王軍が本来成すべきことは、いたずらに戦を起こすレコンキスタから、この国を奪われ他国への侵略の手を伸ばすことを阻止することだ。それが成せるのなら、僕は自ら手を汚すこともいとわない」
「ウェールズ…」
隣に座っていた国王ジェームズ一世が息子を見上げる。ウェールズも自分に視線を泳がせてきた父に気づく。改めてみると、父はもうすっかり老いていた。親子というよりも、まるで祖父と孫のようにも見える親子だった。
「父上。勝手だとは思いますが、我が軍のみであの賊軍を倒すことなど不可能でしょう。ですが炎の空賊たちの力を借りることで、貴族派たちと戦えるだけの力が得られるのなら、僕はこの手段をとることで戦に巻き込まれていく民たちを守りたい。
このまま身を滅ぼすだけなら、私はこの賭けに国の未来を可決所存です」
ジェームズ王は息子からの強い決意表明に、悩む様子を露にしながらうなる。ウェールズの言い分は、この場で最も意表をついていた。自分たちが命よりも守るべき貴族としての誇り…だがそれ以上に民を守ること。
「…いいだろう。もとより、あのような賊軍を生み出したのは遠からず私にも責任がある。断る理由をつけるなどおこがましいことだろう」

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