誓い-ラグドリアン-part1/空賊と王子の友情
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きた。
「……はは!!お前やるじゃねえか!!」
「え?」
あまりにフランクに話しかけてきたグレンにウェールズは目を丸くする。
「船長悪いな。さっきの勝負、俺の負けだ。あそこにいる貴族連中のことをとやかくいえねえな。俺も同じ要因でてめえを舐めきってたからな。魔法におんぶにだっこのボンボンだって。
けど、あの状況で頭をひねって俺の喉元に…戦場だったら死んでたもんな」
「いいのかい?」
意外なグレンのいい分にウェールズはただ首をひねる。
「あ?」
「どうして君は、炎の巨人の力を僕たちに向けなかった?」
素朴な疑問だった。グレンのあの力、炎の巨人の力は自分たち王党派が束になったところで勝てるようなものじゃない。自分に逃げてはならない理由はあったし炎の空賊たちがその条件から別の条件に変えてくれるという保障がなかったからこそ引き下がれなかったのだが、その気になれば炎の巨人の力を用いて自分たちを壊滅させることだって用意だったのに、それどころかこれまでのレコンキスタとの戦争の際は、状況的に不利だったこちら側に手を貸していた。なぜそんな意味のわからない行動に出たのか、ウェールズは知りたがった。
髪がぬれていき、風でなびいていくグレンは珍しく真剣みのある無表情を現しながら言った。
「簡単な話だ。俺たちは、フェアな戦いが一番楽しいのさ。それに俺が巨人になって勝負したら、その時点で勝負じゃなくなっちまうっての」
「は、はあ…」
「よくわからねえって顔だな。まぁいずれわかるさ。まずはその細い腕、俺が鍛えてやらねえとな!」
「え、鍛えるって…?」
「いいよな船長。俺たちの条件をこいつはちゃんとクリアしたんだからな」
ほうけるウェールズをよそに、グレンは背後の高台に立つガル船長たちを見上げてたずねる。
「ふむ、そうだな。わしらも納得の上での勝負だった。そしてそこの皇太子はそれを見事にクリアした。文句は無い」
「なかなか面白い勝負だったぞい。変身しとらんとはいえ、あのグレンの隙を突くとはのう」
素直にウェールズの戦いを褒めたギルと、それに続いてグルが拍手をする。さらに空賊たちは拍手をしたり、ファンファーレ代わりの指笛を吹くなりと、すっかり盛り上がり出した。しかしウェールズは、釈然としなかった。
「待ってくれ。考えてみれば…僕は不意打ちという貴族らしからぬ先方で君の勝負に勝った。実力で圧倒的に劣っているままである以上、僕の勝ちとは…」
「ばーか」
「痛!?」
すると、突然グレンがウェールズに向けてでこピンする。
「俺たち全員が納得した上での勝負だったんだ。この勝負は、お前さんがどれだけ強いのかとかを図るためじゃねえ。勝てないとわかっていても、勝負に勝つことにどれだけ執着できるかを試すためだったんだよ。んで、てめえは見事その覚悟を俺たちに示した
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