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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
誓い-ラグドリアン-part1/空賊と王子の友情
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界がふさがれるほどだったが、グレンは耐え抜く。
「んなもん!うおおおおおおおお!!!」
この程度の水を含んだ風など、蒸発させてやる!グレンは雄たけびをあげながら両腕を広げると、その熱気を帯びた衝撃が彼を包み込んでいた水と風を吹き飛ばした。
「へ、どうよ…な!?」
自慢の魔法を打ち破ってやったぜ、と勝ち誇るグレンだが直後に息を詰まらせる。彼の周りが、今度は白い靄で覆われてしまっていたのだ。
実は、これはウェールズの狙いだった。自分も多少なりとも水魔法が使える。かのヘキサゴンスペルを元に、風の魔法と混じらせて使い、それをグレンに浴びせる。そうすれば必然的に存在そのものが炎でもあるグレンはかき消そうと熱気を放つと予測したのである。そうすれば風の中に含んだ水が水蒸気化し、周囲が切りに覆われるということだ。
ウェールズの姿が見えない。しかもこの急な霧の発生に、貴族やクルーたちもざわついている。
「くっそ!どこ行きやがった!?」
姿が見えないこの状態にグレンはもどかしさを感じる。ふと、うっすらと人影が見えた。そこか!とグレンは飛び掛る。
「捕まえたぞ!てめえの負け……?」
今度こそ勝ったと思ったが、見当違いだった。
「…グレン、俺だってば」
それは、グレンとはよく話す空賊のクルーの一人だった。たまたま霧の近くに巻き込まれたために、彼とウェールズを間違えてしまったのである。
「くそ!はずしたが!!本物は…ッ!!」
改めてウェールズを探そうとしたその直後だった。振り向いたその瞬間に見えたのは、自分に向けて杖を剣のように突き出して、不適に笑うウェールズの姿があった。その杖にはすでに魔法によって風がまとわりついている。その気になればグレンをこの超至近距離から攻撃できる。
「…チェックメイト…だね。この魔法はエア・スピアー。風魔法の中でも貫通性がある。さすがの君でも、人間の姿で…それもこの距離からでは逃げられないはずだ」
その時、空の気流の影響でか霧が晴れた。クルーたちはそれを見て、まさかの番狂わせに驚き、貴族派たちからはすっかり調子に乗った歓声があがった。
「や、やった!!さすがは皇太子様!」
「わははは!ざまあみろ空賊め!やはり貴族にたかが賊が勝てるはずが…」
「静まれ!僕はさっき言ったはずだ!!僕たちは彼らと対等な盟を結ぶためにここに来たんだ。なのに相手を見下すような物言いをするとは何事か!」
直後に、厳しい表情のウェールズから静粛にするようにと指示が入り、さっきの喜びようから一転して貴族たちは意気消沈した。まったく…貴族の悪い癖だ、とウェールズは自己嫌悪する。メイジというものは、魔法があるからといって平民に勝る力を手にしているからか、どうも調子に乗りやすいたちなのだろうか。
ため息を漏らすと、背後からグレンがウェールズの肩を叩いて
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