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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
誓い-ラグドリアン-part1/空賊と王子の友情
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流れ落ちる血を指先でふき取り、立ち上がるが、すかさずグレンのラッシュパンチが繰り出される。
「ほら!おうら!!そうらよ!!」
「が…!!」
メイジの弱点とは、魔法の詠唱中の隙を疲れてしまうこと。ワルドの場合、杖をレイピアのように振るい接近戦にも対応できるようにしたことでその弱点を克服していたのだが、ウェールズはまだ戦慣れしていない身だった。城の中で生活の大半をすごしてきて、実践の経験がほとんどないせいもあってワルドほど完璧に対処しきれるはずも無く、さらに蹴りを受けて吹っ飛ぶ。
「ぐあああ!!」
「皇太子!」
「この下賎な空賊め!よくも!」
怒りに駆られる貴族たちは杖を抜こうとするが、直後にウェールズが立ち上がる。
「皇太子!お怪我は…!?」
「大事無いよ。それより…みんなは下がるんだ。これは、僕と彼の決闘なんだ」
「し、しかし!!」
これ以上皇太子の手を煩わせることなどできようかと、ウェールズに戦うことをやめさせるように言おうとするが、ウェールズはそれをかたくなに聞かなかった。
「それにここで僕が引けば、我々アルビオン王党派が空賊に屈したという事実が残る。それはレコンキスタに隙を突かれる要因ともなるかもしれない。
だから、僕に逃げるという選択肢は…ない!」
「へぇ…まだやる気なのかよ兄ちゃん?さっきの腕っ節からすると、まともな喧嘩なんざやったことねえだろ?その諦めの悪さは嫌いじゃねえが、勝てる見込みなんざあるのか」
諦める様子を見せてこないウェールズに、関心を寄せる反面呆れた様子も見せるグレン。一流になってくると、戦闘中に相手と多少拳を交えただけで、相手の力量がわかることもある。実際城の中で後生大事に家臣たちに守られながら最低限の訓練しか受けたことの無いウェールズはグレンと比べて圧倒的に弱かった。このまま正面から立ち向かったところで、勝ち目がないのは明白だった。
痛みをこらえ、ウェールズは立ち上がる。引き下がるわけには行かないのだ。自分たちの力だけでは、もはや怪獣たちを使役し、どのような手段を講じているかは知らないが同じ王党派の仲間たちを裏切らせ仲間に引き入れ続けることで、さらに戦力を増徴させていくレコンキスタに勝つことはできない。そうなれば、あの叛徒たちはさらにこのアルビオンを、果ては…。
「…アンリエッタ…」
3年前の晩餐会、初めて彼女と出会った。自分とは従兄妹同士だが、会うのはあの時が初めてだった。だけど、あの時互いに交し合ったことで通じ合った想いは、本物だと思っている。あれからほんの数通程度だが手紙だって交わして、互いの絆の重さをかみ締め合っている。
「…負けられ…ないんだ…」
ここで彼に勝たないと、自分たちに未来が無い。何より…。
「僕がここで倒れたら…この国の民たちも…あの叛徒たちに……彼女も……それだけ
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