4部分:第四章
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の?」
「何なのじゃなくてだよ」
「ここにいてくれるか」
「けれどここは」
皆にあげた。それでこう言われることがわからなかったのだ。
「皆にあげたから。もう」
「何言っているんだ。土地は皆のものじゃないか」
「そうだよ。洞窟だって同じだよ」
この土地は皆のものだという考えは北米のネイティブアメリカン特有の考えである。だから後に多くの移民達に土地を奪われることにもなってしまうのだが。しかし彼等は今はこの考えでブラッシュマンを呼び止めたのであった。
「だからさ。残ってくれよ」
「それで時々は村にも遊びに来てくれ」
「いいの?」
思わぬ言葉を聞いてほぼ無意識に彼等に問い返した。
「それでいいの?僕がいて」
「いいよ。だから皆のものだからな」
「皆で何かあれば祝えばいいじゃないか」
「そう、皆で」
村人達の言葉を聞きながら呟く。
「祝えばいいんだ」
「何かあればな」
「その代わりね」
また娘が彼に言う。
「もう迷惑なお節介は止めてね。少しの親切で充分だから」
「うん、じゃあ」
ブラッシュマンもその言葉を受けた。そうして頷いた彼を皆が受け入れる。皆の友達になったブラッシュマンは以後お節介をすることを慎み小さな親切のみを心掛けた。その彼のトーテムポールが村に作られそれが友情の証となった。誰もが彼を愛するようになった時のことであった。
ブラッシュマン 完
2008・9・5
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