第八話「色彩の崩壊を告げる悪魔の王」
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。本能的にその危機を察知し右手を突き出した上条だったが、触手は右手に触れるか否かのところで急に上へと直角に曲がった。右手の上の虚空でまた直角に曲がりそのまま上条の眼前に迫るが、銃声と共に、ゲル状の触手は力なく落ちていった。
「気をつけるぜいカミやん。こいつらの狙いはカミやんにゃー」
銃声の主は土御門だ。手に握ったチャカを2、3発立て続けに放ち、触手を次々と落としていく。上条を逆お姫様抱っこした少女も、懐に持っていた小太刀を振るい、まるでどっかの無双ゲーのようにバッサバッサと切り裂いていく。
いや、そんなことはどうでもいい。今、土御門はなんと言った?狙いは自分?
「紅ちゃーん。こいつらなんだにゃー?」
「……分からない。あと、気安く呼ぶな。土御門の青二才」
「紅」と土御門に呼ばれた少女は、一瞬不愉快そうに眉をひそめたものの、質問に簡潔に答えた。「分からない」。これが土御門に帰ってきた答えだった。
「あの氷のでっかい狼が溶けてこうなったのか……?」
見れば触手の発生源はあの巨狼の残骸からだ。間違いなくあれが原因には違いない。
「近づければ……」
「やめた方がいい」
右手を見つめる上条に、釘を刺したのは土御門だった。いつになく真剣な口調の彼に、思わず顔をしかめる上条。それがいつもの土御門らしくない、と思ったから来たものには違いない。
「2度目になるが奴らの狙いはカミやんにゃー。カミやんが突っ込めば敵さんの思う壺だし──それに」
土御門で目線である場所を示す。無意識にそこへと目線を向ける。何も無い虚空に目を向ける上条だったが、次の瞬間には変化が訪れていた。
触手の発生源の上空。そこを先ほどの小型の狼の氷と炎の境界線のように、真っ二つになった巨狼の真ん中に出来ていた空間のように、そこを右と左と分けた、ちょうど真ん中の線。
まず──右で閃光が爆ぜた。爆発した閃光の正体は雷撃だった。雷撃は正確無比に、一つの慈悲もなく、触手たちを撃ち抜いていく。周りにいた士道たちや一般人、インデックスや浜面たちを避け、その周りにいた触手たちは一瞬で灰へと還る。
そして──左で今度は本物の爆発が起きた。硝煙の臭いを辺りにばら撒きながら、そこには、まさにアメコミさながらのパワードスーツのような物を纏った鋼鉄の戦士が立っていた。子供なら誰もが憧れるようなヒーロー。それが爆煙の中で悠然と伸びをしている。
そしてもう一人。
茶色の艶やか、かつ艶やかな髪を靡かせ、月をバックに降り立つその姿はこの世のものと思えない。アメシストの瞳とその身に羽織った紫のマント、そして頭に被った麦わら帽子がなんとも幻想的な──
「──へ」
インデックスの声と共に
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