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とある緋弾のソードアート・ライブ
第八話「色彩の崩壊を告げる悪魔の王」
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ん中を通り抜ける狼。そのままただの氷の塊となった巨狼が、ガラガラと崩れていった。

 そんな中、上条は崩れた巨狼の向こう側──宙を舞い着地した狼の傍に誰かがいることに気づいた。





「……明らかに、おかしいよね」

 最後尾に戦闘が満足にできない平賀や中空知を庇う形でいたワトソンは、怪物が一閃され倒されるという一応の結末を見せたからか少し余裕を取り戻し、周りを見渡しながら呟いた。

 ワトソンの周りにいる武藤や不知火も、それにつられて騒ぎの間には気づかなかったあることに気づいた。

「こんな騒ぎだっていうのに、全く人が駆けつけてこねぇ……」

 現在、十字路の中央にて上条とインデックスが怪物と相対しており、北側の地下通路の方面への道にはキンジたちが、南側の駅へと向かう道にはキリトたちが、そして西側の「ウェスト・ランド」方面への道には士道たち面々が纏まっていた。

 しかし、それぞれの道には見える範囲で全く人通りがない。もう陽は落ちているとはいえ、この十字路に差し掛かるまで何人かにキンジたちはすれ違っている。しかもここは駅周辺だ。それなのに、ここには彼ら以外の人の気配はまったくなかった。これだけの大騒ぎが起こっているにも限らず、だ。今まで気づかなかったが不自然すぎる。

「人払いの結界……もしくはそれに似たものが貼られているのかも」

 その疑問に答えたのは白雪だった。が、貼られているのはただ、特定範囲へと立ち入りを限定するだけの人払い結界ではなかった。

 人払い結界は簡単に言えば認識阻害とも言える術式の一種である。無意識下に干渉しその場所への興味の認識を逸らしたり、その場所への居心地を悪くする認識を意図的に形成することで、人払い結界は完成する。だが、この結界には、もう一つの効果があった。目の前にどんな化け物が出ても、それに立ち向かう者がいても、それを客観的に捉え、「逃げる」という考えを抱かせないという認識阻害結界。こんな光景に巻き込まれたことなどない一般人であるキリトたちが逃げようとしないのは、そういう理屈というわけだ。

 それでも、若き武偵達にはある変化が起こったことは分かった。

「──何か来るな」

 徐々に近づいてくる何かに気づき後ろを振り返るキンジたち。目の前でまたもや新たな怪物が登場しないか気を張りながらも、後ろから近づいてくる存在にも注意を向ける。

 しばらくすると暗闇に一つの光が見え始めた。徐々に街灯が照る場所と近づいていたそれは、街灯の明かりに晒されて、初めて正体を見せた。

「ワゴン車?」

 それはどこにでもあるタイプのワゴン車。それがこちらに向かってきてることを、キンジたちは理解した。

「トヨタのハイエースワゴンか?」

 ベージュメタリック
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