第八話「色彩の崩壊を告げる悪魔の王」
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「いや……「魔女狩りの王」のようにルーンの刻印を使ってるわけじゃないから。多分、とうまの右手を押し切るだけの再生能力はないと思うよ」
確かに右腕が再生はしているが、インデックスの見立てでは「魔女狩りの王」のように「幻想殺し」の消去能力を上回る再生能力はないとのこと。
「周囲の水分を冷却して氷を修復してるみたいだけど……とうまの右手を押し付け続ければ」「いける……ってわけだな」
「お前ら何言ってんの!?」
「訳がわからん…」
全く付いていけない他の面々を置いてきぼりにして、上条が駆け出す。狙いは敵の体そのもの。そこに「幻想殺し」を押し付けば、それで終了だ。
「両脚を交差。首と腰を逆方向に回転」
ようやく立ち上がった巨狼に再び強制詠唱を仕掛けるインデックス。直後に巨狼の動きが狂い始める。まるで油が切れたブリキのおもちゃのような、何かに操られながら必死に抗うような、不自然な動きを小刻みしながら行おうとする巨狼。動きさえ止めれば、後は氷の巨狼に向かっている上条の右手が、その存在をかんたんに消す。
「強制詠唱」を使い10万3千冊の魔導書を持つインデックス。対異能に置いてはジョーカーのような強さを持つ「幻想殺し」。この2人がタッグを組んだとして、出し抜ける魔術師はそうそういないだろう。
しかし。
今回、上条が相対している魔術師は「そうそういない」の中の一人であった。
2,
「へ…………」
「?どうしたの、四糸乃」
四糸乃の声にいち早く反応したのは、隣にいた七罪だった。四糸乃が後ろに見ているのに気づき自分も振り返り、四糸乃が絶句した理由が分かった。
一言で言えば「ガラスのような体を持った狼」。それが今、目の前で上条たちと相対しているものと違う点はあちらが獣人のように二足歩行しているにも限らずこちらは4足歩行であること。サイズが普通の狼ほどのものであること。そしてもう一つ。体の半身はダイアモンドを発生させるほどの冷気を纏っているのにも限らず、その中央を境にして、もう半身は轟々と燃え盛っている。
まるで、黄泉の冷気と地獄の猛火の両方を纏ったような。その姿はまさに冥界の使い。
士道たちもその存在に気づいたのだろう。後ろを振り向き目の前に表れた狼に警戒している。七罪は横目で、鏖殺公を天現させようとする十香を抑えつける琴里の姿を伺えた。この場には精霊とは全くの無関係のキリトや上条がいる。後先考えずに力を使うのは得策ではないだろう。
しかし、十香の意思に関係なく、鏖殺公は天現する。
「なっ……!?」
動揺する十香。士道も眼を見張る。精霊は精神状態
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