第八話「色彩の崩壊を告げる悪魔の王」
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だと分かる。「銀氷の魔女」などと呼ばれている自分と同等の氷の超能力……いや、それ以上の可能性の方が高い。
その氷を、まるで水風船に画鋲をさしたように弾け飛ばした上条にその場のほとんどが絶句していた。もちろんここは超能力開発の先進都市、学園都市だ。上条が何らかの能力を使ったという可能性も考えたが、それにしたって氷を弾け飛ばすなどデタラメだ。
「──むっ!!来るぞ!」
しかし相手側にとって、それは想定内だったらしい。
今度は左手に、瞬時に氷のトマホークが形作られ握られる。
標的は先ほどと同じく上条。そのまま構えられた左腕は、上条が右手を突き出すより前に再び猛攻を開始する。
「刃の切れ味は己へ向かう」
ただし、自分の片腕に、だが。
「な、なんだ!?」
目の前で繰り広げられる、ありえない、荒唐無稽な光景に唖然とするキリトたち。精霊や超能力というものにある程度精通している他の面々でも驚嘆とするものなので、彼らの衝撃は計り知れなかった。何せ、氷の巨狼などといった、ゲームでしか体験したことがなかった光景が、目の前の現実で繰り広げられているのだから。
「両脚を平行に配置し重心を崩せ」
そんな彼らを置いてく形で、場面はどんどん進んでいく。標的をインデックスに変更した氷の巨狼は、インデックスに手を伸ばそうと身を乗り出す、左腕を振り上げ一撃を加えようとしていた。
しかし、突如巨狼は自らの両脚を同時に踏み込んだ。もちろんそんなことをすれば重心が崩れるに決まっている。氷の巨狼はそのまま、前に街路樹を押しつぶしながら倒れこんだ。
「強制詠唱」。「ノタリコン」という暗号を用いて術式を操る敵の頭に割り込みを掛け、 暴走や発動のキャンセルなどの誤作動を起こさせるという『魔力を必要としない魔術』で、インデックスの必殺技である。これを使ってインデックスは巨狼の行動を狂わしたのだ。
「とうま!こいつはギリシア神話に出てくる「ケルベロス」を概念にして召喚する、一種の使い魔だよ!氷を用いてこの世に現界してる!」
目の前で起き上がろうとする怪物を前に、インデックスと上条はまるで苦でないような闘い振りを見せていた。悲しいことに、この2人にとっては正体不明の魔術師に襲われるというこの光景も日常の一部なのである。
「ステイルのアレみたいなもんか?じゃあこいつを右手で触れてもまた再生するのか」
自ら砕いた巨狼の右腕が徐々に再生してるのを見て、上条はステイルが使用する魔術、「魔女狩りの王」を思い出す。炎の塊と氷の塊と対極的だが、突撃してくる時の威圧感や瞬時に再生できる点など、似通ったところが多い。
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