第七話「さぁ、定説と理を覆せ。主役たち」
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「あっ、ありがとうございます!」
『ありがとねーおにーさん』
小柄な体を90度以上曲げて礼をする四糸乃と、その片手で四糸乃ほどではないがちゃんと礼をするよしのん。礼の相手はもちろん、よしのんを取り返すために飛び出した上条だった。
「どういたしまして」
あの時、上条は人混みの中で偶然白井黒子と出会っていた。士道が四糸乃がよしのんを落としたことに気づくほんの少し前だった。
風紀委員の彼女は空間移動という能力を持ち、立て籠もっている犯人たちに気付かれずに近づくには一瞬で済む。しかしそれは、犯人が人質を取っていなければの話だ。犯人のうちの1人くらいは空間移動の直後に倒すことはできても、人質3人を同時に救出するにはある一点に犯人たちの気を逸らさなければ無理だ。
『どうにかして犯人たちの気を一点に引き付けられれば……』
白井がいることに気づいた上条は、その呟きを聞くとすぐに行動に移した。後の説明はいらないだろう。よしのんを取るために飛び出ることで、ただでさえ周囲の行動に敏感になっている犯人たちの視線を引き付ければ、後は白井が空間移動で人質を安心なところに飛ばせばいい。
「まったく……頭を使ったのはいいですけれども、あまりいい手とは言えませんのよ」
「ああ。そこはすまん」
「猿人類とはいえど一般人。このようなことに手を出すのはよした方がいいですわ」
それができればどれだけいいか。と上条当麻は頭を掻きながら、心の中でそんなことを思う。
「……まぁ今回はあなたのおかげでスムーズに事件が解決できましたし、癪ですけど、一応お礼は言っときますわ。ご協力、感謝します」
しかし上条の行動が今回の事件の早期解決に繋がったことは事実だ。風紀委員として、そこは協力を感謝しなければならない。
まさかお礼を述べられると思ってなかった上条は面食らうが、すぐに「どういたしまして」と口にした。
「白井さん!警備員への犯人グループの引き渡し、完了しました!」
近付いてきたのは白井と同じ「風紀委員」の初春飾利、先ほどまで白井・初春と共に行動していた佐天涙子、そして犯人の1人を取り押さえたことで事情聴取中だった浜面。
そしてもう1人。
「あれ?黄泉川先生?」
「お、そういうお前は月詠先生のところの上条当麻じゃん」
上条の通うとある高校の体育教師にして警備員第七三活動支部所属の巨乳の美人、黄泉川愛穂であった。同僚の「シリアスをコミカルに解決する」という評価からも分かるように、その乳も含めていろいろとんでもない人だが、人柄は良いし、学校先生として厳しいが、真摯に接しているからか生徒たちから慕われている。ちなみにあらゆる
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