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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三十話 真剣の意味
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「おうよ、見てみよ。彼奴め、攻防のさなか助六郎の守りの癖を監察しておるわ。」
「……よく分かりません。」

「ふむ、そうか……清十郎、覚えておくがよい。どのような形であれ戦う者にとって必要な才能とは飽くなき執念と真実を見抜く力よ。
 それは医者だろうが研究者だろうが軍人だろうが教師だろうが変わりはせん。戦いの形が違うだけよ。」
「執念と真実を見抜く力……」



清十郎が父の言葉を追い呟いく。
才能とは単純に数値化できる能力ではない、一つの情報から十を知り、難解なパズルの欠けた一欠けらを無数の擬きの中から見つけ出す観察眼と真偽眼。

そして、障害程度で挫けぬ執念。
執念と能力、その二つが揃ってこそ才能は才能たり得る。
執念なき能力はただの怠惰となり、能力なき執念はただの暗愚だ。


「見ておれ、もう間もなく決着がつくぞ。」


「はぁっ!!」

ダンっ!と地面を強打する踏み込みそれに載せて鋭い刺突が兄と対峙する少年へと向かう。
少年は竹刀の切っ先を根本で横に流しながら後退する。
しかし、道場は何処までも下がれるというものではない。

「てやぁああああああああッ!!!!」


その後退が止まる一瞬をついて、竹刀を横に流された勢いを回転力に変えて助六郎が面を放つ。
その時だった。


「――――ッ!?」

助六郎の面の一刀は殴り弾かれた、少年が竹刀から離した右腕の小手で外へと打ち払ったのだ。
その下から往なし、そのまま少年は素早い体捌きで助六郎の側面を一瞬で潜り、背後へと回る。

即座に踏み込んだ右足を軸に体を反転させる助六郎。その瞬間だった。
「―――!!」
「っ!?」

首への衝撃、まるで短槍を振るうかのように面を弾くのに使った右腕に切っ先を抑え込まれた竹刀の刃の部分が面の防具の下から潜り込み、直に肌に触れていた。

―――真剣ならば頸動脈はもとより、気管も裂かれ最悪頸椎もぶった切られていた。

「ま、参った……」




「父上あれは!本当に……剣術の素人なのですか!?」

幼いながらに武術を叩き込まれてはや数年、清十郎は戦慄を覚えていた。
門下生の同年代は清十郎に勝てない、始めた年齢があまりに違う。スタート地点から違うのだ。清十郎に彼らが勝てる通理はない。

それは兄と、そのさらに年下の少年であれば絶対の壁として立ち塞がる……筈だったのだ。


「空手の浮舟から面に見せかけ首への一撃―――助六郎の大袈裟すぎる防御の癖を見破り剣道ならばまったく意味のない急所への一撃。
 しかも見てみよ、竹刀の弦が張られている側。つまりは峯の部分を抑え込み梃子の作用と自身の体重で威力を倍加させとる。」

日本刀が片側にしか刃がないことを利用し、短槍
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