第74話 後ろには気をつけよう
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らば多分白夜以外でも破壊出来る可能性はあるだろうが万が一と言う事もある。壊せるときに徹底的に壊すまでだ。
「下がってろ鉄子。こいつで紅桜をぶっ壊す!」
「それを使ってか?」
「!!!」
突如、声が響いた。そして、同時に背後に感じる冷たい感覚。鋭い殺気と狂気が其処から感じ取れた。そして、銀時はその殺気と狂気を知っていた。
「てめぇ、高杉!」
「よぉ、勝手に人様の家に土足で上がり込むたぁ感心しねぇなぁ」
「人ん家を火の海に変えようとしているてめぇの言う事かねぇ?」
「くくく、それもそうだな」
銀時の皮肉を間に受けるかの様に背後に居た高杉は肩を震わせて笑っていた。だが、銀時に向けている殺気に揺らぎはない。少しでも動きを見せれば即座に袈裟懸けに斬り捨てられるのみ。しかも、今回は以前の時とは違い密着した距離ではない。刀も恐らく押し付けられているのではなく切っ先を向けられているのだろう。これでは刀身を握って無力化を図る事も難しい。第一、まだ銀時は抜刀していないのだ。
「銀時!」
「来るな、鉄子!」
「でも!」
「お前はそれを破壊しろ! 此処でそいつを壊さなかったらどうなるか分かってんだろうが!」
「あ、あぁ!」
半ば歯切れの悪い返事を鉄子はした。銀時を救いたいと言う気持ちはあったが、恐らく彼女では到底後ろに居る男には勝てそうにない。それに、今此処で紅桜を破壊出来なければ待っているのは江戸の最期だ。
「頼む、そいつをぶっ壊してくれ! これ以上そいつに人の血を吸わせちゃならねぇんだ!」
「それは貴殿の考えではないのかな?」
今度は別の方から声がした。位置からして鉄子の近くだ。声のした方へ視線が注がれる。丁度部屋の暗がりの中からゆっくりと声の主は姿を現した。
村田鉄矢その人であった。
「あ、兄者!」
「やっぱりてめぇが作ったのか!」
「その通り! この紅桜は拙者が桜月の欠片をベースとして作り出した全く新しい決戦兵器なのだ!」
「決戦兵器?」
「この紅桜を用いれば、あの忌々しい天人達の乗る戦艦すら破壊する事が出来るのだ! そして、これを使い、この腐った江戸を丸ごと破壊する!」
「止めろ兄者! そんな事をして何になるって言うんだ!?」
「鉄子、貴様には分かるまい! 最強の刀を作る。これこそが拙者の生き甲斐だったのだ! かの村田一族が残した名刀「白夜」そして「桜月」。この二本を超越する刀を作ろうと幾千幾万の刀を打って来た。だが、そのどれもが駄目だったのだ! だが、遂に拙者は成し得た! 先代が残した名刀を凌駕する最強の刀。それこそがこの「紅桜」なのだ!」
村田鉄矢にとって、白夜と桜月と言う二つの名刀を超える刀を作ること。それだけが目的であり生き甲斐であった。そして、それをなし得る
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