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駄目親父としっかり娘の珍道中
第74話 後ろには気をつけよう
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 しかし、髪を毟り取られた事は余り気にしている様子はなく、寧ろそれよりも大事なリボンを取られた事に怒りを感じているご様子であった。




     ***




 表では色々と大変な事になっているそんな今日この頃。銀時と鉄子の二人は密かに偽装船の中に潜り込む事に成功していた。
 だが、如何せん適当な場所から潜り込んだが為に今何処に居るのか全く理解出来ず、船内を右往左往している

「銀時、その……本当にこの道であってるのか?」
「知らねぇ」

 鉄子の心配を他所に銀時はひたすら前進を続けていた。確かに船内の地理など無いに等しい。だが、歩き続けていればその内出口に辿り着けるのかも知れない。淡い期待を胸に今はひたすら歩を進める。それだけの事であった。

「あ〜、たるいなぁ〜。ここらで一旦休憩でもすっかなぁ」

 前言撤回する。本人は全く何も考えていない状況であった。まぁ、幸いなのは船内の殆どがもぬけの殻状態だったので特に戦闘と言う戦闘がなかったのが救いではあった。

「ん!?」
「どうした?」
「何だ、急に白夜が―――」

 一瞬だが、銀時は何かを感じた。手に持っていた白夜から何か鼓動の様な感覚を感じたのだ。もしや、この付近に桜月があるのかも知れない。それを伝えようとしてるのだろうか。
 事の真偽を問うのは後回しだ。今はこれを信じて突き進むしかない。
 銀時は歩を早めた。船内を走り回り、鼓動を頼りに道を進む。白夜が鼓動を強めている。これのお陰で船内を今まで以上にスムーズに移動する事が出来た。全く、何処かのアニメのOPで言っていたフレーズが嘘の様に思える感覚だった。

「ったく、俺を何処へ連れて行くつもりなんだ? 白夜」

 白夜が道を教えてくれているのは半分有難いが、それ以上にこいつにいい様に扱われている気がしてならなかった。
 それが少し銀時には気に入らなかったのであった。

「此処か―――」

 ひたすら進んだ頃だった。突然白夜の鼓動が止まった。白夜が「此処に来て欲しかった」と言っていたと暗示しているかの様に二人は導かれた気がする。
 二人の目の前には、透明なガラスケースに収められた幾本もの刀が其処にあった。
 紛れも無く、それらは全て紅桜だった。もう既に紅桜の量産は行われていたようだ。だが、幸いにも作られたのはまだ刀身だけらしく、まだ完成形とは呼べない姿ではあった。

「この状態だと、多分まだ熟成中の様だと思う。今なら簡単に壊せる筈」
「そうかい、だったら今の内に叩っ壊すとするか」

 そう言い、銀時は持っていた白夜の柄に手を掛けた。桜月を使用している紅桜を破壊出来るのは白夜しかない。そして、今この瞬間を置いて他に紅桜を破壊出来るチャンスは恐らくない。熟成中の今な
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