3部分:第三章
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それで今日もか」
「ああ、バグダートのムスリムの生活さ」
マムーは言う。
「昼は必死に働き、夜は豪勢に遊ぶ」
スレイマーンはそれを聞いてもう言っても無駄かと思った。頷くだけになっていた。
「わかった。じゃあそうしな」
「そうさせてもらうぜ。また夜な」
「ああ」
それでこの日は終わりだった。スレイマーンはその日の夜は遊びに出ずに家でゆっくりと休んだ。次の日の朝に異変が起こったのであった。
店がある市場に行くと。店の者達が何かと騒いでいたのだ。
「何があったんだい?」
「あっ、これは旦那様」
雇われている若い男達が主人の顔を見てほっと安堵した顔になった。
「いいところに来られました」
「いいところ?」
「はい、実はこいつ等が色々聞いてくるんですよ」
「旦那様は何処かって」
「旦那様!?」
その言葉にいぶかりながら使用人達の指差す方に顔を向けた。するとそこにいたのはどれも見知った顔ばかりであった。
「君達は」
「どうも」
「お騒がせしました」
彼等は申し訳なさそうに頭を下げる。見ればマムーの店の者達であった。
「どうしたんだい、旦那様がどうとか」
「いえ、実は」
「うちの旦那様のことなんですけれど」
「うん」
ここは彼等の話を聞くことにした。
「昨日から戻られないんですよ」
「昨日からか」
「お家にもおられませんしここにも。若しかしたらと思ってここに来たんですが」
「いないみたいですね」
「そうだな、僕は見ていない」
スレイマーンはそれに答えた。
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